日本フードエコロジーセンターへ見学に行ってきました
相模原市にある工場「日本フードエコロジーセンター」を見学しました。こちらの事業は「食品循環資源のリキッド発酵飼料化」-まだ食べることができる食品(工場からの余剰品や店頭から引き下げられた食品等)が365日運び込まれ、豚の液体飼料へと再生されています。この取り組みは数々の賞を受賞し、海外でも持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みとして発表される機会もあるそうです。2つの背景を中心に総務部長の長野さんからお話を伺いました。
●ゴミ処理の問題解決として
日本の食品関連事業者からの食料廃棄量は、世界の食料援助総量を上回っています。そして焼却炉で燃やされているうちの約半分が食品廃棄物、1トンを燃やすのに約4万円のコストがかかり、その半分以上は税金で補てんされています。こういった状況を改善し、食品循環資源の再生利用等を促進するため2001年に「食品リサイクル法」が施行されました。業種別に再生利用等実施率が設定され、2019年度までの目標値は、製造業95%、卸売業70%、小売業55%、外食産業50%となっています。
こちらの工場には、180以上の事業所からの余剰食品が日に33トン運び込まれています。ちなみにコンビニの仕組みを描いたドキュメンタリー映画「コンビニの秘密」にも登場することから、コンビニの売れ残り等も運び込まれているのかと勘違いしそうですが、そちらはゴミとして廃棄されているとのこと。その方が事業者としては手間もコストもかからないのです。豚が食べるものに異物が混入していては大変ですから、提供する方の理解と協力が欠かせません。ゴミとしてではなく「飼料の原料」としての取り扱いを、契約した事業者には丁寧に説明に行かれるとのことでした。
●畜産経営の問題解決として
一方、畜産現場は配合飼料のほとんどを輸入に依存しており、価格高騰に苦しんでいます。そこで配合飼料の半値程度、しかも殺菌発酵処理や独自のブレンド技術よる飼料を与えることで豚の疾病率も低下、抗生物質の投与も軽減化し、安全な豚肉を消費者に提供できるということで、畜産農家にとっても助かっています。これらは付加価値のある豚肉として(「優(ゆう)とん」「旨香豚(うまかぶた)」というブランドで販売されています。また、牛乳やヨーグルト等の水分をそのまま利用し発酵した液体であるため、別途水を飲ませる必要がなく、糞尿の匂いも軽減され、労働環境の改善にもつながっているとのことでした。
液体飼料はAタイプ(炭水化物や野菜など:見学時には大量のハルマキ、餃子の皮がありました)、Bタイプ(スーパーの総菜の売れ残りなどを含む油分多め)の2種類があり、豚の成長に合わせてニーズがあるそうです。(常温で2週間保存可、匂いもあまりありません。)
工場に足を踏み入れた途端、その昔アジアを旅行したときに嗅いだ匂いと似ていると感じました。さっきまで包装されて売られていたもの、あるいは作られてそのまま処分されてしまう食品が山積みなっている光景は、やはりショッキングなものでした。最終的には食品が廃棄されることのない社会を目指すところではありますが、この現状下、せめてこのようなループリサイクルに取り組む事業者が増えていくことを願っています。
私たちも「事業者と市民と共に、ゴミを出さない多様な仕組みをつくります」を政策にかかげています。昨年はフードロスの学習会も行いましたが、継続して 皆さんと、意識、教育、仕組み、取り組み、一緒に考えていきたいと改めて思いました。