学校給食のもったいない!について考えよう
日野・生活者ネットワークもメンバーである日野地域協議会主催で「学校給食のもったいない!について考えよう」の集いを開催しました。(1月26日@日野市民活動支援センター 参加者14名)
以前、多摩市で開催された「学校給食の牛乳を考える」集いに参加しました。その後学校給食の牛乳が選択制になっています。その展開を詳しく聞きたいと、多摩・生活者ネットワークの岸田めぐみ市議を招いてお話を聞きました。
ある話し合いの場で「毎日給食で牛乳を残すのがしんどい」という子どもの声を受け止めたのがきっかけです。いまの子どもは学校でSDGsについて学びますから、残すことにプレッシャーを感じていたようです。この状況を変えたいと、学校給食の牛乳について取り組むことになりました。
多摩市の学校給食はセンター方式、以前は紙パック牛乳でした。しかし納入業者が紙パックを回収を取りやめることを機に、2020年6月からビン牛乳に変更しています。
まずどのくらいの牛乳が廃棄されているのかを調べたところ、2020年度6月~1月分で11万5431本もの「未開封の」牛乳が廃棄されていたことがわかりました。特に中学校に多く平均で17%、多い学校では28.9%が手つかずということです。
医師の診断書があれば牛乳の提供をとめることができますが、「飲めない」「飲みたくない」ではハードルが高いものです。牛乳納品業者からも話を聞くと、生産者としても廃棄は悲しいとのことでした。その後イベントでアンケート調査を行うと、85%以上の人がこの状況を何とかしたいと思っていることもわかりました。そこで私も参加した冒頭の市民集会を開催。話し合いの末、教育委員会に牛乳の選択制を求める陳情を出そうと決まり、2022年8月に提出しました。
学校給食摂取基準では、1日のカルシウム摂取量の50%をまかなうこととされ、栄養面からも価格面からも、牛乳に頼らざるを得ないというのがそれまでの担当課の見解でした。
しかし陳情審査では、基準はあくまで目安である、子どもの体格にも差がある、三度の食事を通して考えればよいなどの意見があり、採択となりました。このような柔軟な考え方は、もっと広く共有されるべきではと感じます。
その後診断書の提出がなくても牛乳を停止することができる仕組み(飲用牛乳停止届を提出)がつくられ、2023年9月からスタート(詳しくはこちら)。それまでアレルギーなどによる牛乳提供停止者は109名でしたが、選択制導入後の二学期からは379名、三学期は421名に、多摩市の児童生徒数は約9,000名ですから、約4.6%が飲用停止しているという状況です。
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参加者からは、多くの意見が出ました。中には、担任の先生の柔軟な対応を願う声もありました。飲まない子ははじめから牛乳をとらなくてもよければ、飲みたい子がお代わりで飲めます。個々の教員の判断ではなく、日野市の学校全体の取り組みとして統一化できればいいねと話し合いました。
また、中学の女子生徒の間では「ビンに口をつけて飲む姿を見られたくない」という心境もあるようで、なるほどと思いました。
色々と意見交換をしたうえで、一番大切なのは子どもたちが楽しく給食を食べること、そして廃棄を減らすにはどうしたらよいか、どうしたいのかは子どもの声を聴き、子ども達自身が考えることが大切だと話し合いました。
選択できるようになったことで、子どもの心理的負担が軽減され、廃棄される牛乳も減ります。子どもの声を受け止め、それを選択制という仕組みの実現に丁寧につなげた多摩市の事例は、まさに市民自治で素晴らしいと感じました。
日野市でもまずは子どもの声を聴き、子どもにとって最善の利益とはなにか、同時にどうしたら「もったいない」をなくしていけるか、子どもと大人が一緒に考えていけるよう、取り組んでいきます。
日野市の現状について
実は多摩26市で12市がこのような牛乳選択制を導入しているそうですが、日野市では現時点で特に検討はされていないようです。
担当課への聞き取りによると、2023年度と2024年度に調査した5回の平均値で、未開封の牛乳の廃棄本数は年間81,989本とのことです(日野市の児童生徒数は約14,000名)。牛乳提供回数で割り返すと、1日当たり458本です。ただし、調査する季節によってバラツキがある、夏場は廃棄数が減少する傾向があるとのことでした。牛乳の廃棄もそうですが、容器にも注目です。紙パックはリサイクルするとはいえ、環境への配慮の観点から繰り返し使えるビンが望ましいです。ビン牛乳の取り組みには、日野ネットも力を尽くしてきました。
さらに給食残渣全体については、2023年度の総量は202,950kg。ただしこれには、調理過程の生ごみも含まれていますから、食べ残しの量ではありません。ちなみに今年度からこの残渣は八王子バイオマスエコセンターへ運び込まれ、たい肥化されています。それについてはこちらの報告をご参照ください。提案が叶ってうれしいです。