金銭セクストーション(金銭を伴う性的脅迫)の被害にあわないために

セクストーションという言葉をご存じですか?
Sex(性的)+Extortion(恐喝)を組み合わせた言葉だそうで、私ははじめて知りました。その中でも金銭を伴う「金銭セクストーション」の被害にあう児童・中高生が急増しているといいます。
被害拡大が懸念される夏休みが始まるのを前に、この危機的状況を多くのひとに知ってもらいたいと、緊急院内記者会見が開かれると知り、駆けつけました。(7月17日@衆議院第二会館)

会見を開いたのは特定非営利法人ぱっぷす、「性的搾取に終止符を打つ」というミッションに取り組む非営利の民間団体です。私も以前お話を伺いに行ったことがあり、本当に地道に大切な活動をされていると敬意を表しています。
理事長の金尻カズナさんと、認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウで日頃から精力的に人権問題に取り組んでいる伊藤和子弁護士が会見に臨みました。

奥が金尻さん、手前が伊藤さん

ぱっぷすの相談窓口につながるのは、全体からみれば氷山の一角ですが、それでもセクストーションに関する新規相談件人数は、2022年度171人から2024年度は1864人、今年度は2000人を超す見込みという急増ぶりで、ぱっぷすも対応の限界に近い状態だといいます。
今年6月の被害年齢別計では、児童が35%、中学生が7%、高校生が44%といいます。その約9割が金銭エクストーションであり、被害者の約9割が男性だというのが驚きでした。

まさにそこが落とし穴で、「まさか自分が被害者になるとは考えたこともない」からこそ、被害にあってしまう。中には中学生になって英語を頑張ろう!とSNSを通じて知り合うのが入り口になることも少なくないようですから、切なくなります。
やりとりをする中で、相手の女性から性的な画像や映像を何度も求められ、断り切れずに送ってしまうと豹変し、拡散するぞと脅される。「20万払え」「できない」「いくらなら払える」「2万円」「なら2万円でいい」こういうやりとりの中で「2万円で許してくれた」という感謝の念を抱くことさえあるようです。もちろん支払いは一回では終わりませんし、例え20万払っても、画像や映像が消去されることもありません。
資料の一部を主催者の許可を得て掲載します。ぜひご参照ください。(クリックで拡大します)

アメリカでは自殺に追い込まれる高校生もいたことで、胸が痛むと同時に加害者への強い怒りを感じます。そのような状況を受け、諸外国では脅しの段階で処罰できる法整備や支援体制など速やかに対策が進んでいます。
しかし、日本では脅しだけで処罰できる法整備がなく、削除や相談の公的な支援窓口もありません。多くは外国人の国外犯なので所轄署では対応が厳しく、犯罪の温床になってしまっているようです。
伊藤弁護士は、現行法の改正や議員立法による法整備、子ども家庭庁の速やかな対応や文科省から学校への通知等の必要性を強く訴えました。

伊藤和子弁護士と

被害にあったらどうしたらいい???

絶対にお金を払ってはダメ!お金を取れる相手と見込まれます。とにかく早く連絡がとれない状況をつくること。放置はよくありません。個人情報を得た相手はあらゆる手段を通じてメッセージを送り続けてきますから、どんどん追い込まれてしまいます。

「こんなこと誰にも相談できない…」と一人で抱え込んではいけません。いきなり警察に相談するのはハードルが高いかもしれませんが、悪いのは脅して金銭を巻き上げようとする方です。勇気を出して相談ください。
あるいは特定非営利法人ぱっぷすへ。日野市でしたら、子どもオンブズパーソン制度の活用もご検討ください。家族も、普段から子どもが声をあげやすい関係性を築いておくことが大切だと金尻さんは指摘します。

私達にできること、それはまず「金銭セクストーション」という犯罪があることを社会的に広く知らせることです。オレオレ詐欺も具体的な手口が広く知られることで、次の犯罪抑止につながります。情報は免疫となると、金尻さんはくり返し訴えました。

私も翌日、教育や子ども関係部署等への周知に取り組みました。皆さんもぜひ身近なひとに広めてください。同時に、幼少期からの包括的性教育の取り組みは無論、ディープフェイクや野放図な卑猥なネット広告規制等も喫緊の課題と考えます。
性被害、性加害、性搾取のない社会を、私たちの手で共につくりあげていきましょう!

※セクストーションには、金銭だけでなく支配を目的とするものもあり、深刻な女性の被害もあります。ただ女性の場合は別の統計(恐喝だけでなく実際に画像等を公開されるリベンジポルノなど)でカウントされているということです。

参加していた多摩・生活者ネットワークの岸田めぐみ議員と