足元から地球温暖化を考える(江戸川区視察報告)

江戸川区にあるNPO法人「足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ」(略称:足温⦅そくおん⦆ネット)は、生活者ネットワークとも縁の深い団体で、その存在はずっと気になっていました。しかしなかなか企画にも足を運べずもどかしさを感じていました折、江戸川区で地域エネルギー会社が設立されるという報道を目にし、何が起きているのか知りたい!と生活者ネットの仲間とともに話を聞きに伺いました。(2025年12月14日)

足温ネットは、1996年末に江戸川区で市民が取り組める温暖化対策を実践しようと結成された団体です。まず運営する区内3つの市民立発電所「えど・そら」を視察しました。それぞれ寺院、高齢者施設の屋根、そして駐車場2階に、市民からの借入で設立されています。発電した電気は電力会社に売り、借入の返済にあて、余剰がでた場合は市民の社会的活動の応援につながる形で還元しているそうです。
特に印象に残ったのは、駐車場2階に設置された光らない黒い太陽光パネルです。太陽光パネルの反射が眩しいという「光害」は新しい公害ともいわれていますが、これなら心配はありませんね。

その後足温ネット所有のオフグリットハウス※「松江の家」に伺い、江戸川区がはじめる地域エネルギー会社についてお話を伺いました。※オフグリットハウス:太陽光発電などエネルギーを自給自足している住宅

地域エネルルギー会社ができるまで

江戸川区は「日本一のエコタウン」を目指し、2018年3月に策定された「第2次エコタウンえどがわ推進計画」(~2030年)では、地域新電力会社の設立の検討が示されていました。その後、気候変動適応センターや気候変動適応課の設置、2023年2月には都内で初めて、カーボン・ニュートラルの先の「カーボン・マイナス都市宣言」を発しています。

2024年4月からは自治会・町内会主催の「(仮称)地域脱炭素勉強会」が始動し、足温ネットは長年の活動を評価され、その勉強会の企画・運営に参画します。明治末期から大正にかけて江戸川区には「江戸川電気」という電力会社が存在していたという情報提供には、特に強い関心が寄せられたそうです。
2025年4月には、区は「地域脱炭素の実現に向けた江戸川区の考え方」を示し、11月には地域エネルギー会社の事業パートナーが決定、そしてちょうどこの日の翌日(12月15日)が民間企業や地元信用金庫と共同出資で「江戸川電力株式会社」(江戸電)の設立日となるとのことでした。100年ぶりの江戸電の復活!というわけです。

7年という歳月はかかりましたが、計画に明記することの重要性、それを元に着実に一歩一歩を積み重ねてきたのだなと感じました。そして地域で地道に活動してきた足温ネットがよい形で連携し、存在意義を発揮していると受け止めました。

地域エネルルギー会社のしくみ

ひと言で言えば「希望する住宅の屋根に太陽光パネルを無償で設置し、住民は使用料に応じた料金を支払う」という仕組みです。これをPPA(電力購入契約)といいます。電気を作って使う、足りない分はこれまで通り小売から買って補います。

何もしなければ34万世帯で約376億円の電気料金は市外に流出します。しかし一部でも地域の会社に支払われれば、経済が地域で循環します。参加する世帯を広げていくことで、エネルギーの地産地消が広まり、CO2の排出削減がすすみ、地域にお金が回ることで、地域が豊かになります。2030年までに800軒超の普及を目指しているそうです。
市民にとっても、初期費用もメンテナンス費用もかからず、かつ電気代は安くなり(区の試算では4人世帯で年間5万円ほど)、発電している間は停電しても電気は使えるのですから、いいことづくめです。
もちろん、相続や建て替えなどのリスク対応といった課題もあります。まずは事業への理解を広めるため、丁寧な説明会を実施していくとのことでした。

私も議会で地域での再生可能エネルギー事業展開を求めてきましたが、この江戸川区の取り組みは大変参考になりました。脱炭素政策であると同時に、地域が豊かになる経済政策として「地域エネルギー会社の設立など、エネルギーの地産地消の仕組みづくりをすすめ、原発に頼らない社会を地域から構築します」の政策実現に向け本気で取り組んでいきます!

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