日本初のトンネルコンポスト方式 視察に行ってきました!

日野市は現在、三市(小金井市・国分寺市・日野市)共同新可燃ごみ処理施設を建設中で、来年4月より本格稼働を予定しています。新施設の稼働期間は30年の期限付き。30年後を見据え、持続可能なごみ処理のヒントを求めて、可燃ごみを焼却しない処理施設、香川県三豊市の「バイオマス資源化センターみとよ」を日野ネットのメンバーとともに視察しました。
三豊市の市民環境部主任主事の今井さん、委託を受けている株式会社エコマスター代表取締役の海田さん、センター長の鎌倉さんにお話を伺いました。

バイオマス資源化センターみとよの前で、右から今井さん、鎌倉さん、海田さん、白井

●トンネルコンポスト方式が生まれるまで

高松空港から車で約1時間、人口約6万人の三豊市は、平成18年に7町が合併して生まれました。それまで可燃ごみは広域での焼却処理でしたが、処理場の使用契約の終了を目前に、新たな選択をせまられました。
当時の市長の「ごみは資源。燃やさない」という強い信念を条件としたプロポーザルによる公募の結果、「排水しない」(この地区は下水道が普及していないため)トンネルコンポスト方式が採用され、三豊市は株式会社エコマスターと20年の委託契約を結びました。
破砕機や選別機のような機械(mechanical)と微生物による発酵(biological)で処理(treatment)するMBTは、ヨーロッパでは普及している処理方法です。海田さんは、16年前にヨーロッパでMBTを学び、研究を重ねてきました。この先見の明が実を結び、全国でも珍しい民設民営というスタイルで、2年前より運用がスタートしたのです。

●トンネルコンポスト方式とは

「バイオマス資源化センターみとよ」では、市内の一般家庭と事業者から集めた可燃ごみを粉砕し、微生物の力で生ごみを発酵、分解させ、発酵残渣(紙やプラスチックなど)を固形燃料の原料として送り出すまでの一連の作業を行っています。ごみと混ぜ合わせる微生物は、特別な菌などではなく、発酵処理したごみを循環利用しています。

左側にある山は発酵処理した分解物や木くず、これらを破砕した新しいごみと混ぜ合わせ、奥のトンネルに運び込みます。

17日間密閉されたコンクリート製のトンネル内で発酵させるのですが、発酵により生じる熱は70度に及ぶため、雑菌は死滅し、紙やプラスチックはカラカラに乾燥します。その後選別機にかけ、分解されない紙やプラスチック類を固形燃料の原料としてひとつ一トンの塊にします。実際に触ってみましたが、乾いた感触で臭いもありませんでした。

発酵乾燥処理が済んだごみは三種分別機で選別された紙やプラスチックは、塩ビ選別を経て、圧縮梱包されます。

その後その塊は、親会社で固形燃料にし、石炭の代替燃料として、契約をしている製紙工場に販売します。安定的な販売先の確保は、この循環システムの要です。
生ごみからでた水は集約され、発酵を促す散水に循環利用、また発酵中に蒸発するので、施設からの排水は一切ありません。
ここに運び込まれる可燃ごみは年間約10000トン、固形燃料になるのは約4000トン、ごみのおよそ半分は水分であることがわかります。
懸念される臭気は、厚さ2メートルの木材チップによるバイオフィルターで脱臭されるため、こちらも嫌な臭いは一切しませんでした。

敷き詰められた木材チップ。ここを通過するときに臭いは分解されます。30分ごとに上から散水しますが、その水も循環しています。

●課題とこれから

焼却しないことでCO2排出を削減(年間約6500トン)、また自治体としても施設建設やメンテナンス等の巨額な費用を削減できることから、特に春にテレビ番組で紹介されてから、全国から視察や問い合わせが殺到しているそうです。センター長の鎌倉さんは、特に焼却炉の建て替えを検討している自治体に、トンネルコンポスト方式を取り入れてほしいと熱く語っていました。課題は、作り出す固形燃料を安定して買い取り続けてくれるところが近くにあるかどうかです。

トンネルコンポスト方式は環境面でも、費用の面でも、とても優れた方式だと思いました。
一方で、燃えるごみは堆肥化して土にかえすのがよいという意見もあります。日野市では実際に生ごみを直接畑に投入し、堆肥化することを一部の地域で実施しています。これを少なくとも中学校区に一つに広めるには、安定的な堆肥の需要、農地の公有化も必要です。
このようにごみを考えていくには、農業や、発電など、トータルにバイオマスで循環する持続可能な社会を構想していくべきと考えます。その土地によってどのような方法が最適なのかは、市が市民や事業者と話し合いを重ねていくことが大切です。
この視察を新たなはじめの一歩とし、9月議会の一般質問にもつなげていきます。

最後に全員で記念撮影、パチリ♪