「種苗法」の改定は本当に必要?(3月議会請願)
「種苗法の改定について国に慎重審議を求める意見書の提出を求める請願」を担当の環境まちづくり委員会で審議し、私は紹介議員として賛成の立場で意見しました。
残念ながら不採択ではありましたが、種苗法の改定内容および日野市の農業の現状とこれからを議論できたのは貴重な機会だったと感じています。
以下は最終日に述べた意見です。
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「種苗法の改定について国に慎重審議を求める意見書の提出を求める請願」に採択の立場で意見を申し述べさせていただきます。
今国会では「種苗法の改定」について、今月3日にはすでに閣議決定され、来月中旬には、委員会審議が始まるだろうといわれています。請願者は、友人から種苗法の改定に関する話をきき、もっと詳しく知りたいと学習会に参加し、このままでよいのかという疑念を抱き、自分にできることは何かを考え、3月の日野市議会に請願というかたちで提出しました。
今回の改定の主な目的は、日本の優良な品種、例えばシャインマスカットから和牛の精子まで、海外に不正に流出するのを防ぐため、新品種を登録した育成者の権利を強化しようというものです。「日本の農業を守るために一刻も早く必要」と言われれば、必要だと感じられるかもしれませんが、シャインマスカットも種苗登録されていたのに、海外に持ち出されことを考えれば、国内法を改定しても抜本的な解決にならず、むしろ海外での登録や水際対策こそが有効であることは、農水省も認めるところです。
請願者が問題視するのは、この改定で、登録品種が原則自家増殖禁止となる点です。これまでは一部の指定品種以外は、登録品種であっても、一度購入すれば自由に増殖しても構わないというルールでしたが、これからは許諾料を支払うか、毎年種や苗を買い続けなければなりません。
これまで自家増殖でつないできた零細農家はその負担に耐えられるでしょうか。その作物を作ることをやめてしまったり、農業を続けることをあきらめてしまったりするのではないか、農業者の権利の過度な侵害にあたるとの指摘もあります。
その結果として、食の多様性が失われ、供給と安全、価格の高騰など、食料自給率の低い日本で、いのちを守ることができなくなるのではと請願者は懸念します。
委員会の質疑からは、今回の種苗法の改定については、日野市の農業者の多くは毎年種や苗を購入しており、自家増殖されている方も種苗法の対象ではない在来種なので、今直接的に影響が及ぶことはないであろうということがわかりました。しかし、10年後20年後の日野市の農業者が困ることはないのでしょうか。
また日野市の農業のここ20年の推移を確認すると平成7年と27年を比較し、農地は約4割減、農業人口は約7割減と激減していることがわかりました。農作物や栽培方法も時代とともに変化しています。そのような状況下、日野市は未来をみすえ、継続発展させていくための取り組みをしています。そのひとつとして、日野産農産物をブランド化して流通させていく方法など現在模索中であることのことでした。
例えば日野市がブランド化を考えている東光寺大根は、在来種ですから種苗法は適用対象外です。しかし伝統的作物の栽培農家が、大企業から育成権侵害として訴えられるケースが国内外で相次いでいるといいます。大企業から特性表でわが社の登録品種だといわれれば、零細農家はそれに反証する術がありません。
大切に地域で培われてきた在来種が失われる可能性もあり、そのためにも在来種を守る仕組みづくりが必要です。廃止された種子法に代わる種子条例を制定する自治体も増えています。
また、コミュニティで種を改良していく「参加型育種」も今後注目されていくと考えます。このようなことも視野に、日野市には何が持続的な農業の発展につながるのか、つねにアンテナをはっていただければと存じます。
最後に、2年前の種子法廃止、同時にできた農業競争力強化支援法そして今回の種苗法改定と日本の農業をとりまく環境は劇的に変化する中、国際化とは何か、自国の農業を守るとは何か、日野市を含む日本の農業はどこに向かおうとしているのか、この請願を通して請願者が問いかけている根幹的なテーマだと私は考えます。議員の皆さま、日野市、そして市民の皆さまとこれからもともに考えていきたいと思います。
その一歩として、まもなく審議が始まる種苗法改定の慎重審議を求める意見書の提出を求める本請願が採択されることを願い、以上意見といたします。
★種苗法の改定についてわかりやすく解説してある日本の種子(たね)を守る会さん作成のリーフレットはこちらから入手できます。