シイタケが教えてくれること

ドキュメンタリー映画「失われた春 シイタケの教え」を鑑賞しました。(5月7日@立川アイムホール)これは福島のシイタケ農家の置かれている現状と放射能汚染の現実を伝えるべく、田嶋雅己監督が7年の歳月をかけて完成した映画です。

シイタケは他の農産物と比較して極めて放射能を吸収しやすいと言われています。「原木椎茸」というものが、どのような過程を経て作られるのか、映画を通して初めて知りました。
原木にする木はコナラやクヌギ。阿武隈の里山の木を切り、その切り株から芽が出る「萌芽更新」(ほうがこうしん)を繰り返し生産してきました。
しかし原発事故以降、シイタケはキロ当たり100ベクレル以下、原木は50ベクトル以下と二重の制限がかかっています。原発事故の年はシイタケから3000ベクレルが検出され、シイタケを4トン廃棄したといいます。そう語る農家さんの言葉、その表情からは、言葉に尽くせない深い苦悩を感じました。

上映後には田嶋監督のトークがありました。里山は、そこに生活する人にとっては経済林であることを忘れないでほしいと監督。それは「持続可能な自然に寄り添った循環型経済」というシステムでもあります。一度汚染されてしまった里山は、簡単に元に戻すことはできません。復活ではなく再生へ、そのためにはイチョウやうるしの木に転換していく独自の構想についても語られました。

この映画は第9回グリーンイメージ国際環境映画祭で審査員特別賞に選ばれました。(2022年3月)
多くの人にこの映画を観てもらい、原発事故が何をもたらしたのか、忘れないでほしいと思います。
私が利用している生協では、今でも放射能物質検査を継続し、データを公表しています。それが安心して購入することに、そして福島の農家さんを応援することにつながっています。

真の持続可能とは何か、エネルギー、農業、林業、漁業、あらゆる観点から考えていかねばなりません。そして、どんな理由をつけても、原発の再稼働は容認してはならないと考えます。
皆さんはどうお考えですかー

真ん中が田嶋雅己監督です