地方自治法改正 あらためて自治とは何かを考える(6月議会一般質問②)

6月議会一般質問2問目は、国会で審議中の地方自治法改正案について市の考えを問いました。
(第213回通常国会ですでに可決・成立しています)

●コロナ禍の反省の答えがこれなのか

この地方自治法改正は、第33次地方制度調査会の答申に基づいたものです。コロナ禍では想定外の事態が多発し、既存の法律では対応できず混乱する場面もあったことから、想定外の事態に備えるため、非常時に国が地方自治体に指示をだせる特例が盛り込まれるものです。しかも、その指示は国会の審議を経ず、閣議決定だけでできます。
白紙委任同然、こんな権限を国に与えていいのでしょうか。

過去には熊本地震の際、国の指示に従うことなく現場の判断が市民の命を救ったという対応例もあります。現場から遠い国の一方的な指示がいつも正しいとは限らないのです。
地域のことは地域が決める。国に求めるのは指示よりも、自治体が求める後方支援です。

危機感を持った多くの地方議員や市民が参加しました

●地方自治体は国からの事務で疲弊している

この改正案だけではありません。すでに日常的に地方自治体では国から次から次へと降りてくる給付金業務等に人手を割かれています。人的、財的支援が十分に担保されていないため、自治体は疲弊し、職員が力を発揮すべき本来の自治事務に支障が生じています。質問により、対応に困惑している現場の悲痛な声を確認しました。これはおかしなことです。
国は法改正にあたり「国が本来果たすべき責任を明確にするため」と繰り返していますが、そもそも平時から責任をきちんと果たしているか、見直すのが先だと考えます。

●自治とは何か

生活者ネットワークは、自ら考え行動する市民からなる豊かな社会を目指しています。地域に必要な社会資源を市民自ら生み出し、協働とネットワークの力を広げながら、トップダウンではなく、ボトムアップの市民政治で地域を変えていきたいと考えています。
この地方自治法改正では、地域住民の生活サービスの提供に資する活動を行う団体を市町村長が指定できることとする規定も含まれていますが、それは地域で決めることで法による規定は必要ないと考えます。

市長には地方自治の考えもあわせ、この法改正への見解を問いました。残念ながら地方自治に対する自身の考えは特に述べられませんでしたが、法改正については役割分担の明確化は必要であると一定の理解を示しつつも、事前の地方自治体との協議・調整は努力義務であることから、運用面では危惧する点が多々あり、市長会等を通じて意見を言っていく努力をしたいという答弁がありました。ぜひ行動に移していただきたいです。

主従ではなく対等な立場での協議、連携こそが地方分権、地方自治の根幹です。

法案は修正や付帯決議がつき通ってしまいましたが、私たち一人ひとりが関心を持ち続け、自治とは何かを考え続け、声をあげていくことが大切だと思います。

 

 

【関連リンク】

「国の補充的指示」権の法制化について ― 33次地制調答申「第4-3-(1)」の論点整理 (jichisoken.jp)
※今井照さんによる論点整理

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