グリーンインフラの魅力と効果を知ろう!
杉並区の井荻小学校で開催された「みんなで知ろうグリーンインフラ」に参加しました。(7月21日)こちらの企画の第1回にあたります。
熊本大学の島谷幸宏先生より、グリーンインフラや流域治水とは何かというお話の後は、グループに分かれての話し合い、そしてこちらの小学校で取り組んでいる雨庭や田んぼのグリーンインフラを見学、質疑応答という充実の内容でした。
雨庭とは文字通り、雨を貯め、時間をかけて浸透させていく庭です。浸透ますもいいのですが、豪雨のときなど対応しきれない時もありますよね。
この雨庭は地元の造園業の方のご協力を得て、5年生が島谷先生の講義を受けてから、作ったものだそうです。畳一枚分ほどの面積でも、スコップで掘るのは40センチほどの深さが限界だったとのこと。学年単位だけでなく、クラス単位で校庭のあちらこちらに作ろうとしているとのことです。
杉並区は下水道が合流式なので、雨水と汚水が同じ管に合流します。ゆえに洪水時に下水管の処理能力を超えると、汚水が川に流れ込み、水質問題に直結します。かつて子ども達から、「子どもには下水道の仕組みは変えられない。それは大人の責任!」と言われたことが今も胸に刺さっていると島谷先生。その体験が先生の原動力のひとつになっているようです。
日野市のように分流式であっても、豪雨時には雨水が汚水管に侵入しあふれてしまうという事態も起きます。雨水は浸透させること、一時的に貯めること、このふたつの仕組みをまち全体で取り組んで、川への負荷を少なくしていかねばなりません。
グリーンインフラとは、自然の持つ多様な機能(洪水を防ぐ、水循環、水質浄化、生物多様性、気温上昇の抑制、良好な景観、憩いなど)をまちづくりに活用していくことです。都市化が進んでコンクリートで覆われると、見た目も殺伐としますし、雨も浸透しませんよね。環境を守っていくことが、結局は都市の課題解決につながるのです。
エコ防災という言葉もありましたが、身近にとらえやすい切り口で、グリーンインフラの可能性と必要性をまず広めることからはじめていかないと、と思いました。現時点ではその有用性をなかなか数値で評価できていないのが課題ではありますが、疑っている暇があったら、今できることを皆んなで取り組んでいくことです。
川への負荷を減らすという観点で、まずはということで日野市には雨水タンク設置を広めるために補助制度をしつこく訴えていますが、まだ実現していません。それに台風の時はお風呂の水を流すのを控えてという呼びかけも、当たり前になるまで繰り返してほしいです。
一人ひとりの取り組みは小さくても、皆んなで取り組むことに意義があります。洪水を防ぐには川に水を集めないこと。下水道の仕組みがわかれば、おのずと自分が取り組めることも見えてくるはずです。
杉並では今後もグリーンインフラ関連の企画が予定されています。隣の若い女性は区長が変わって市民参加型のイベントが増えたと嬉しそうでした。土木計画課やみどり公園課の職員が楽しそうに話をしていたのも印象に残っています。
日野では無作為抽出による市民参加の気候市民会議が開催されましたが、その後の展開が大切です。グリーンインフラ、皆んなで取り組んでいきましょうね!