数字の達成だけでない財政再建を(2023年度決算より)

2023年度一般会計決算は、当初予算額約686億円に対し、歳入決算額約782億円、歳出決算額約743億円、差引残額約39億円という内容でした。日野市財政再建計画の取組みの一年目、掲げた4つの財政指標の2つは達成した黒字決算ですが、これから老朽化した公共施設の建て替えがズラリと待機、その積み立てが圧倒的に不足しています。
経費削減に無理なひずみがうまれていないか、将来をみすえバランスをみながら、そして何より市民の理解を得ながら、再建を進めなくてはなりません。
今回は一般会計の決算特別委員会に所属しました。以下質問の一部です。



●歳入より
市制60周年を祝うクラウドファンディングについて問いました。40名の方より約28万円のご寄付をお寄せいただいたことは大変ありがたいですが、告知の方法にもうひと工夫が必要であったと感じます。そもそも60周年記念企画が全庁的な取り組みとなっていたかという視点での検証を求めました。

●核兵器廃絶・平和都市宣言40周年事業について
2年がかりで取り組んできた事業で得た気づきは、市が補助する市民企画の平和事業等を通して広め、発展させていくことを求めました。

●公契約審議会の検討状況について
現在の公契約の対象は予定価格1億円以上の工事又は製造の請負契約と一部の委託契約です。日野ネットは委託の対象拡大を求めています。それについては現状を見極めながら慎重に検討し、今後は指定管理について検討をすすめていくとのことでした。公契約条例の目的を果たしていくために、財政再建下においても、着実に進めていくことを求めました。

●子どもの医療費について
以前、所得制限撤廃を市に求める請願がありましたが、そのときは市の財政状況から困難と考え、応えることができませんでした。
しかし昨年10月より、市は
所得制限と自己負担を撤廃し、18歳まですべての子どもの医療費を無償化しました。それを評価をしたうえで、年換算では約1.5億円市の負担増になることを確認しました。

●個別避難計画の作成について
ひとりでは避難することが難しい高齢者や障がいをお持ちの方には、いざという時の避難計画の作成が求められています。障がい担当部署では昨年度、進捗がなかったとのことでした。高齢担当部署とは仕組みや体制が異なるものの、災害はいつ発生するかわかりません。両課ともに進め方に工夫をしながら計画性とスピード感をもって作成をすすめることを求めました。

●校内別室指導の経費について
昨年度より市内6校で取り組みがはじまった校内別室指導は、昨年度末で100名を超える利用があったとのことです。児童・生徒が教室以外で安心して過ごせる居場所の必要性を確認しました。2年間の東京都の補助がなくなったら終わり、では困ります。引き続きの取り組みを求めました。

●気候市民会議の意義について
くじ引き民主主義、ミニパブリックスの手法をはじめて取り入れた意義について問いました。熟議の結晶である「提言書」の具現化はもちろんですが、熟議のプロセスから得たことを、これからの日野市の市民参画に活かしていくことを確認しました。

 

総括質疑では市長に、財政再建下の「ひずみ」についてどう捉えているか問うと、第四幼稚園閉園を例に、スクラップ&ビルドの「スクラップ」の難しさや、「お金がないから」という職員の委縮傾向などについて語られました。経費削減の「成果」は本当に「成果」なのか、常に多角的な検証が必要だと感じます。
また、消費者ではない「当事者」としての市民を増やしていく取り組みについて問うと、厳しいテーマについても市民に説明し、理解が得られるような仕組みをこれからつくっていきたいと答弁がありました。
市長の任期最後の決算とはなりますが、その広がりに期待を寄せます。(認定)

 

★決算参考資料はこちらをご参照ください。