かふか21子ども未来会議(視察報告①甲賀市)

今年から議会改革の一環ではじまった所管事務調査。三つの常任委員会がそれぞれテーマを決め、2年かけて行う調査です。私が所属する民生文教委員会のテーマは「子ども・若者の声をどのように聴いて、政策に反映させるか」です。行政視察もテーマに沿い、滋賀県甲賀市と奈良県奈良市を訪れました。(10月2日・3日)

甲賀市では「かふか21子ども未来会議」について、実行委員会と市の担当者(社会教育スポーツ課)にお話を伺いました。滋賀県の子ども議会をみた青少年育成市民会議のメンバーが「自分たちのまちでも開催したい」と実行委員会を立ち上げ、2011年に第1回会議を開催して、今年で14年目になります。
小学校5年生から中学3年生まで集まった子ども達は、「子ども議員」として市内施設の視察やヒアリング、グループディスカッションなど体験を通じて、自ら考える力や行動する力を身に着けます。さらに自らのテーマを掘り下げ、議場での質問にのぞむ子どももいます。それに対して担当部長、教育長や市長が答弁するのですが、市議からは「議員への答弁より丁寧だ!」とうらやましがられることもあるようです。

振り返りのキャンプの開催もあり、任命式からキャンプまで全体で半年以上の時間をかけて取り組む、この一連の流れがいいと思いました。議場での質問は、子ども議員の意見を市が受け止める「場」であり、子ども議員としての活動全体が、社会参画への経験の「場」になっていると受け止めました。
異年齢の子や大人と話ができる貴重な機会でもあります。活動への参加が「居場所」になっている側面もあるという話も伺えました。

子ども達からの提案をもとに、市や地域の取り組みにつながったこともあります。一例として、歩行者信号の青の時間が長くなったり、図書館にマンガが置かれるようになったとのことです。はじめは「学校にこんな遊具が欲しい」といった内容が多かったようですが、次第にまち全体のことを考えての提案に変わっていったといいます。
提案は全て叶うわけではありませんが、時間をかけても叶えたいという意識が職員に生まれる、それが大切だと担当課の方が言われていたのが印象に残っています。子どものためにやってあげているわけではなく、お互いの成長につながるのだと感じました。

運営面は視察等に伴う実費は参加者負担(年間5,000円ほど)で、甲賀市は事務補助や視察用福祉バスの確保、そして昨年度より年間5万円補助金を交付しているそうです。市の担当者は変わりますが、立ち上げからの実行委員会があることで、子どもの成長を見守り続けることができる、互いにリスペクトのあるよい関係性だと見受けられました。

ちなみに子どもの権利に関する条例は、これから検討をすすめるとのことでした。条例に先んじて、子どもを権利の主体として、参加・意見表明する場を市民がつくりあげてきた意義は大きいと思います。きっとこれまでの子ども議員経験者が中心となり、甲賀市ならではのこども条例ができるのではないかと、期待を寄せながら注目したいと思います。

甲賀市は忍者発祥の地 庁舎には子どもの声が活かされています