子どもにやさしいまちづくり(視察報告②奈良市)

2日目は、奈良市の「奈良市こども会議」について、市の担当者(子ども政策課)にお話を伺いました。この会議は2015年に施行された「奈良市子どもにやさしいまちづくり条例」に基づき設置されています。
対象は小学5年生から高校3年生まで。子ども達の議論をサポートする大学生サポーターも募集しています。夏休み期間5回議論の場をもち、市への提言をまとめます。それに対する市からの回答は、別途報告会を設けるそうです。
子ども会議が単なる要望の場とならないよう、意見をまとめる際には「自分たちに何ができるのか」についても考えてもらうそうです。つまり消費者ではなく「当事者」として考えてもらうことかと思います。また意見書を市長に渡すセレモニーに終わらぬよう、市役所全体で子どもの意見に耳を傾ける、といった話もありました。

テーマは毎年それぞれですが、昨年度は市が設定した5つのテーマに分かれて議論したところ、「それは子どもたちが話したいことなのか」といった指摘が子ども・子育て会議(「奈良市子どもにやさしいまちづくり条例」で検証機関となっている)からでたそうです。確かにそうかもしれませんね。ちなみに今年のテーマは「子どもにやさしいまちについて考えよう!」に設定されています。テーマ決めには苦労があるようです。
また、奈良市はユニセフの「子どもにやさしいまちづくり事業」の日本型実践自治体5つの内のひとつだそうです。こちらに準じたチェックリストを作成し、5自治体で検証作業を実施しているという自治体連携は、切磋琢磨につながると思いました。

 

甲賀市、奈良市と2つの事例を学んだことで、共通することや違いがみえました。
共通するひことは、応募者が募集定員の枠内で収まっていることやリピーターが多いということ。中には毎年のように応募してくる子もいるようで、そういう子は今度は支え手にもなってくれるといいます。それは素晴らしいことですが、広がりという面ではどうなのかと思いました。参加していない子どもの意見を聞きとるというプロセスがあるとなお良いのかもしれないと思いました。
異なることは、議場において議会という形式をとるのか、運営主体は実行委員会形式なのか、などです。
目指すところは同じでも多様なアプローチがあり、正解はどこにもなく、試行錯誤してつくりあげていくしかないと思います。そして積み重ねていくことが大切だと感じました。続けることで、子どもも大人もまちも変わっていくのだと思います。

日野市では、今年から子ども条例委員会が始動しています。子ども条例にある子どもの参加や意見表明の権利をどう具現化していくのか、深い議論に期待を寄せます。
同時に、民生文教委員会でも視察を踏まえ、声をあげづらい子ども達の声もどのように聴くかについても、委員間で議論を深めていきたいです。