人間らしく その人らしく 私らしく(日野市女性活躍シンポジウムより)
今年は、女性差別撤廃条約の締結および男女雇用機会均等法の成立から40年、女性活躍推進法の成立から10年という女性の人権政策の節目の年です。
国際女性デーの3月8日、日野市で女性活躍シンポジウムが開かれました。
●ジェンダーギャップのない社会の実現を(小島慶子さんの講演より)
小島さんのテレビで切れのいいコメントには、いつも共感しています。当日は白にまとめた装いで胸には国際女性デーのシンボルであるミモザのブローチ、颯爽として素敵でした。
幼少期から20歳過ぎまで、なんと日野市の百草エリアに住まわれていたということです。進学塾に通って中学は電車通学、雪の日は長靴で冷やかされたことなど、自分と重なるエピソードに一気に身近に感じました。
小島さんは、自分の個性を活かし、自立して生きていこうと就職したテレビ局で、いわゆる「女子アナ」として働きます。しかし小島さんは、「女子アナ」なんて撲滅したい、それは女性活躍でも何でもないといいます。確かに「女子アナ」には、若くて綺麗で主張せず、男性メインキャスターをサポートしている画一的なイメージが私もあります。まるで期間限定の商品のようで、そこに人権は感じられません。
小島さんは、ひとりの働く人として人権が大切にされること、また、人は生き物だから誰もが働けなくなることがある、それを想定した制度や配慮や工夫が必要だと指摘されました。
私も3月議会の一般質問で、「ケアを担う人」を真ん中とした働き方が求められている、それは決して女性のためではないと訴えましたが、それと重なると感じました。
パートナーが仕事をやめ、小島さんが稼ぎ手になった際、パートナーを見下している自分に嫌気を感じ、環境を変えようと海外との別居生活という大きな決断をしたそうです。
お互いを認め合う、そのベースにあるのは「対等な関係」だと思います。私もよく考えるテーマですが、自分の中に潜む偏見と正面から向き合うことは、容易なことではないはずです。小島さんは「ジェンダーギャップのない社会を実現したい」という強い思いが、そこに踏み込める後押しになっているように感じました。自身の葛藤を共有してくれた小島さんに、感謝と敬意を表します。
会場から「自分もそういう社会を目指したいが、小島さんみたいに強くない。どうしたらいいか」といった男性から質問がありました。「ここに来て、質問までしてくれたのはすごいこと!半径2メートルのひとに、今日の話をして」と小島さん。私も思わず拍手しながら、地域でこのようなシンポジウムを開催する意義の大きさを感じました。
●組織風土そのものを変えていく(パネルディスカッションより)
第2部は、市内企業や大学等で働かれる方々と日野市職員によるパネルディスカッションで、パネラーの方それぞれのお立場から、現状分析や取り組みについてお話がありました。
その中で職員課長が「係長昇任試験の合格者の平均年齢で男女で9歳差があること」に言及したのには、ちょっと感動しました。数日前、私が一般質問したことです。現実を正面から受け止める、それを隠さず公表する、そこからが始まりだと思います。
波戸副市長からは「組織風土そのものを変えていく」「昇任試験受けない?と3回は声をかけてみる」といった話もありました。声かけは自分事として考えるきっかけ、また大きな一押しになることもあると思います。そして女性を変えるのではなく、全体を変えていくこと、制度と風土をともに変えていくことです。初の女性副市長として、波戸副市長が果たした役割は大きいと思います。
この報告を書いているとき、朝日新聞(3月27日)の一面に「女性管理職 配置に偏り」という見出しで記事がでました。福祉や市民サービス、子ども・教育の3分野に偏っているというものです。この偏りも、一般質問で指摘したことです。こうして点と点が線になり面になり、世論が社会が変わっていくのだと思います。
「女性活躍」のその先にあるものは、人間らしく、その人らしく、自分の力を発揮して働く社会です。そこを目指して、これからも取り組んでいきます。
【関連報告】
女性職員のキャリアパスの見直しを(3月議会一般質問②) | 白井なおこ