日野市にケアラー支援条例をつくろう(9月議会一般質問②)
介護に疲れ、殺人や無理心中となる事件は8日に1件起きているというデータがあります。市はケアする人「ケアラー」への支援の重要性を認識しているとしながらも、具体策はまだぜい弱と感じます。老若男女、様々な立場のケアラーが声をあげやすくなるよう、支援の根拠となるケアラー支援条例の制定を求め、再度質問に挑みました
ヤングケアラー支援
市は令和6年度からヤングケアラー・コーディネーターを1名配置し、様々な関係機関との関係づくりに取り組んでいることは評価します。ただし、啓発授業についてはこれからです。福祉教育ハートフルプロジェクトの一環ですすめるのがよいのではないかと提案、また子どもの権利とセットですすめることを求めました。
これまでケアラー支援について問うと、まずはヤングケアラー支援からという答弁ですが、後回しの言い訳とならぬよう、次のステップに進むときと考えます。
訪問介護事業所を支える
介護保険制度が始まり今年で25年。昨年は、訪問介護の基本報酬引き下げというショッキングな改悪がありました。ケアラー支援の観点からも、家族介護への逆戻りにつながりかねず、看過できない事態です。基本報酬の引き上げを求めます。
市が行った訪問介護事業所へのアンケートからは「経営が苦しい」「人材が不足している」「半数以上が70歳を超えている」といった声が寄せられています。実態把握には、人件費の割合やニーズに対し実際対応できる割合など、今後の更なる具体的な調査を求めました。
市は人材確保の一環として、生活援助スタッフ研修の見直しに加え、スポットワークの導入や、就労訓練事業の活用も検討しています。
武蔵野市の「地域包括ケア人材育成センター」も一例にあげながら、生活援助のニーズもこぼれおちてしまわぬよう、早急な制度構築を求めました。
休みたい時に休めるように
重度心身障がい者のご家族からは「この子の年齢と介護の年月は同じ」「一般的に子育ては段々楽になっていくのだろうが、自身も衰え、段々大変になっていく」「夜間もケアで睡眠が細切れ。ゆっくり眠りたいと思っても、月に一度のショートステイの予約さえもなかなか取れない。」といった声を伺いました。市としても課題を受け止め、市立病院での受け入れ拡充を相談中とのこと、これは一歩前進です。市立病院がある強みですから、可能な限り枠を確保し、ケアラーが休みたい時に休めるよう求めました。
自利利他という考え方
健康課が主催した「ケアする人を支える」セミナーで、講師の僧侶の方より「自利をもって利他をなす」という話を聞き、これぞケアラー支援の真髄だと思いました。自分が満たされることでよいケアができる、自分と他者の幸福を同時に追求する考え方です。
この考えを地域共生社会のキーワードのひとつとして真ん中に、職員もまちや市民をケアするケアワーカーである自覚を持ち、ケアラー支援の姿勢を内外に示すためにも条例が必要だと訴えました。
副市長は、ケアの意味あいの大切さを深く考えたと受け止めていただき、自身がヤングケアラーだった経験も語ってくださいました。「社会全体の生産性や活力にも影響するから、ケアラーを社会全体で支えていくことが大切」と、まさにその通りです。副市長ならぬ福祉の長としても、これから力を発揮していただくことに期待を寄せます。