自分で調べ、考え続けること(おしゃべりカフェ報告)
今年は戦後80年。戦争をしないために、私たちができることは何か、考える時間を持ちたいと思っていました。そんなある日、たまたま市内にお住いの歴史学者、山本武利さんにお会いする機会がありました。山本さんは、戦後とメディアに関する著作のある方で、現在10巻に渡る全集を執筆中です。
ご多忙中とは存じ上げながらも、お話をきかせていただきたいと打診したところご快諾いただき、実現することができました。(11月16日@生活保健センター 参加者15名)
山本さんは現在85歳、愛媛県生まれ。父親はシベリア抑留で帰らぬ人となり、母親は6人の子どもを苦労して育てたそうです。子ども時代から社会の動きに関心があり、アメリカに助けてもらっている日本の姿勢に反発心を抱いていたといいます。大人は「子どもだから」と思いがちですが、子どもは実際大人が考える以上によく見て聞いて、本質的なことを全身でキャッチしているのだと、山本さんのお話を伺いながら感じました。
日本人は情報操作に弱い、それが戦争による多くの犠牲者を生んだという思い、その状況を変えたいという思いが、山本さんの情報統制研究への熱量の原動力になっているのだと思います。
山本さんのお話、その後の参加者との意見交換で共有したのは、操作されている情報をマスメディアは流している、受け手はその自覚を持ち、自分で調べること、考え続けることが大切だということです。メディア、イコール情報をお金に変える大企業ばかりではありませんが、無批判に受け入れないこと。GHQや自主規制による検閲の研究を緻密に重ねてこられた山本さんの言葉には、重みがあります。

情報はパラレルワールド(現実とは別のもうひとつの世界)を作りあげることもできるのだと、情報の受け手であると同時に発信する側でもあるこのネット時代、改めてその怖さを感じます。
だからこそ、どう思うか、なぜそう考えるのか、お互いに、そして自分の理解も深めるために、人と人が、対面で話し合う場がいま求められていると思います。一人で考えていては、ぐるぐるまわってしまうことや偏ってしまうことも、気づきを得ることで、そこから抜け出せることもあります。
対話による解決ができないときに、対立が生じます。しかし、対立を解消していくのも、結局は対話です。対立の最たるものが戦争です。私達一人ひとりにできることは、話し合いの場を広げていくことではないでしょうか。
戦後80年で企画したお話会でしたが、戦争中や終戦直後だけでなく、普段から自分にとって必要な情報を正確に取り、考える力を持ち行動することが大切なのだということを、戦争当時の話を通して共有できました。
ささやかですが、おしゃべりカフェはそういう話し合いの場のひとつになればという思いもあり、開催を続けています。機会があればぜひご参加くださいね。

