ダムがないとダメなの?
「石木ダム」をご存じでしょうか。それはまだ影も形もないダムですが、長崎県の東彼杵郡(ひがしそのぎぐん)川棚町川原(こうばる)地区、川棚川の支流・石木川のほとりに作られようとしています。ここは棚田が広がる美しい里、ほたるの里として知られている地です。ここで半世紀もの間、ダム建設に抗いふるさとを守り続ける人々の様子は、ドキュメンタリー映画(「ほたるの川のまもりびと」)にもなっています。
ミュージシャンの坂本龍一さんは、ここを訪れた際「この小川にダム?」と驚かれたといいます。60年以上前の建設計画においては、佐世保市への水供給と川棚町の洪水被害防止が目的とされていましたが、どのどちらも今は全く必要ないと専門家は指摘しています。
現在参議院議員として活躍されている嘉田由紀子さんは、大戸川ダム建設中止を公約に掲げ、滋賀県知事に当選された方です。ダム建設は凍結となりました。(現在はまた動き出しているようですが)嘉田さんも石木ダム建設には、異を唱える立場です。昨年末、その嘉田さんの流域治水対策に関する講演を伺い、水害に強いまちづくりはダムに頼らずとも実現できるという提案に共感しました。
本来川は溢れるという前提で流域共同体で水害対応をすること(近い水)が大切で、現在では河川に水を閉じ込めコントロールしようとする行政まかせになってしまったこと(遠い水)が、結局は被害を大きくしているといいます。要は水とどう共生していくかという視点が必要なのではないか、と私は感じました。
昨秋の台風19号の際、ダムの役割についてテレビでも盛んに放映されていました。果たしてダムのおかげなのか、ダムの放流のせいなのか。ダムの建設は、そこに住む人々の暮らしを奪います。自然の生態系を壊します。多額の税金が投入されます。それは揺るぎのない事実です。
温暖化時代の水害にどう備えるか、本当にダムは必要なのか、私たち一人ひとりが多角的な視点で自分の頭で考える必要があると感じます。一緒に学んでいきましょう。
※都議会議員山内れい子が、2019年第4回定例会を終えて(談話)で八ッ場ダムの治水効果について言及しています。こちらをご参照ください。