自分らしく生きられる社会に~日野市にパートナーシップ制度導入を~(6月議会請願)

パートナーシップ制度とは、法的な効力はありませんが、同性カップル等の関係を婚姻に相当する関係として公的に認める制度です。5月時点で51の自治体で導入され、近隣では府中市が昨年、今年は国立市、小金井市、国分寺市が制定を目指しているといいます。
このパートナーシップ制度について、日野市においても導入に向けてのプロセスを進めてほしいという請願が提出され、採択されました。

請願に込められた思いとは
LGBTは人口の7%、左利きの人の割合に近く周りに1人はいるはずですが、性のあり方を隠して生活している方が多く、「見えない存在」「いない存在」になってしまいがちと請願者は指摘します。
この点については担当課長も、自分の周りにLGBTの方々は「いない」のではなく「見えていないのでは」と述べており、同じ認識であることが確認できました。
誰でも、自分を押し殺して生きることは辛いことに違いありません。請願者は「同性愛者の自殺率は異性愛者の3倍」というデータを引用していましたが、悲しい選択をしなくて済むように、誰も取り残されない社会をつくりたい、自分のまちで自分にできることをと考え、請願されたといいます。
身近な自治体が「ありのままでいい」というメッセージを発信することは、誰もが差別されることなく、自分らしく生きられる社会の実現につながると、パートナーシップ公的承認の意義を請願者は訴えています。

日野市の状況は
日野市ではまだ具体的な施策には至っていませんが、市長が2019年の所信表明において「多様性を認め合う社会の実現につなげていくため、人権と平和を担当する組織の設置及び多様な支援策を検討してまいります。」と述べているように、まずは制度導入に向けて担当の組織を設置すべく準備をすすめているところです。
職員もLGBTの研修を受け、受講者にフレンドリーバッジを渡すなどLGBTの理解促進に努めています。また、当事者の交流の場として月に一度「虹友カフェ」を開催しています。
第4次日野市男女平等行動計画策定に向けた男女平等についての市民意識アンケートの中で、今回はじめて性的マイノリティに関する設問も加わりました。その回答では、必要な自治体の取り組みとして、「教育の充実や配慮」「相談窓口」「雇用面で不利益が生じないこと」「トイレなど施設面の充実」に次いで、「パートナーシップ制度の導入」(32.3%)が選択されています。
第8期日野市男女平等推進委員会から市長に提出された提言書にも、性的マイノリティについての取り組みが盛り込まれています。

すべてのひとの人権が保障されるまちに
私は紹介議員として、意見の中で「パートナーシップ制度の導入」について第4次日野市男女平等行動計画に明確に計画に位置付け、ロードマップを示すこと、計画策定のプロセスを共有できるよう議事録の公開を求めました。
パートナーシップ制度導入は、私も政策に掲げている「すべてのひとの人権が保障されるまち」にもつながります。
同じひとり親でも婚姻歴のあるなしで税制上生じていた不公平が、今年度の国の税制改正で是正されました。このように多様な家族のあり方の実態に対して、国や法は後追いになっているのが現状です。
だからこそ自治体の施策が問われます。日野市は昨年、障害者差別解消推進条例を制定し、今後平和と人権を担当する組織の設置を予定しているようです。近い将来、パートナーシップ制度の導入を進めていくでしょう。
市民の方が、自らの意思で、思いと願いを込めた声を市に届けてくださったことで、市と市民、議会が改めて「誰のために」「何のために」制度が必要なのか、それを共有する新たなきっかけとなったのではと私は感じています。

私も皆さんと一緒に、どのような制度であったらよいか、ひいては新しい家族のあり方についても考えていきたいと思いますので、どうぞお声をお聞かせください。

LGBT研修を受けた職員が受け取るLGBTフレンドリーバッジ