「共に働く」を目指して~ソーシャルファーム事業の展望~

ソーシャルファームという言葉を聞いたことがありますか?

様々な事情で就労に困難を抱える方が、必要なサポートを受けながら、他の従業員と共に働いている社会的企業を指します。
1970年頃、北イタリアの精神病院で、患者が退院後に就労できる場がなかったため、病院職員と患者が一緒に仕事をする企業を作っていったのがはじまりと言われています。イタリアでは「ソーシャル・コーポラティブ(社会的協同組合)」というそうですが、それはまさに私たち生活者ネットワークの根幹にある運動でもあります。

東京都は昨年末、希望する全ての都民の就労を支援していくことを目的に「都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例」を制定し、今年の6月に「東京都ソーシャルファームの認証及び支援に関する指針」を公表しています。

長年、市内で社会的企業の・事業所の実現を目指し、寄与されていらした認定NPO法人やまぼうし理事長の伊藤 勲さんに、ソーシャルファームについてお話を伺いました。
伊藤さんは、条例ができたことは高く評価し、期待を寄せているけれど、指針は具体性を欠き曖昧な点が多いと指摘します。指針についてのパブリックコメントも、寄せた意見はほとんど反映されなかったといいます。
就労困難者と認められる者についての基準や定義、事業収入の割合、5年後の支援のあり方について等明確に示すべきであり、関連団体とともに東京都に要望書も出しています。企業就労と福祉就労の中間である第三の「共に働く」就労の機会、それが伊藤さんたちが求めるソーシャルファームです。

一方日野市では、今年から「日野市障害者差別解消推進条例」を施行し、「障害者活躍推進計画」に基づき、障害者雇用拡充に取り組んでいます。今年度から本格稼働が始ったプラスチック類資源化施設においては、新たな障害者等雇用促進事業の場とすることとしており、日野市障害者就労支援センター「くらしごと」の所長でもある伊藤さんは、そのコーディネイトをっています。そして3年後には、ソーシャルファームの事業体による雇用に切り替えていくことを目指しています。

伊藤さんのお話を伺い、その根底にあるのは「誰もが市民として生きる権利がある」ことだと感じ、共感しました。
私も就労が困難なひとが働ける仕組みづくりを政策に掲げています。市民の方とともに、誰もが共にいきいきと働ける社会の実現を目指します。

右から、大河原雅子衆議員議員、伊藤勲理事長、森沢美和子市議、白井