コミュニティガーデンで循環とつながりを(見学会報告)
農のある暮らしづくり協議会主催のコミュニティガーデン見学会に参加しました。(7月12日)
倉沢里山を愛する会
はじめてこちらの里山を訪れたとき、(え、ここ日野市なの?)と広がる豊かな自然の風景に驚いたことを覚えています。
そもそも里山とは何でしょう?倉沢里山を愛する会のHPにはこのように紹介しています。
もともと「里山」はたんぼや畑、それをとりまくクヌギやコナラなどの雑木林、湧水や水路・・・これらが有機的な循環を構成する、かつて農業と密接に結びついて人間によって管理されて保たれてきた2次的な自然環境と言えるでしょう。そしてその環境の中で、人間は長い間木や草や動物や昆虫などととてもうまくやってきたのです。もともとは極めてありふれた日本の原風景とも言える、私たちにとって心安らぐ懐かしい風景です。 |
今年で発足21年目となる「倉沢里山を愛する会」事務局の田村はる子さんから、お話を伺いました。
この一帯は2001年に発生した相続に際して、日野市への寄付と、相続税の物納地を後に日野市が国から買い受けるという手法で公有化しています。
その緑地を良好な状態で維持する方策について市と市民団体が協議を重ね、2004年に管理・運営・共用等に関する内容を定めた「パートナーシップ協定」を締結しています。地権者・行政・市民の3者が協力し合って緑地を保全した極めて稀な事例です。
農園は、年に5回雑木林の手入れをすることを条件に、会員が利用しています。あくまで目的は里山全体の保全です。里山のめぐみがあってこその農業、「有機的な循環」を肌で感じました。
例えば落ち葉はもちろんのこと、近隣から牛糞や馬糞、おから等の提供を受け、畑のたい肥にしていく。雑木林では貴重な草花を刈り取らないように、また生息する生き物が暮らしやすいように環境を守っていく。守りながら活かしていく、このバランスが大切だと田村さんはおっしゃっていました。課題を解決するために編み出された「パートナーシップ協定」、このような協力関係、仕組みづくりを今後更に発展させていければと思いました。
NPO法人 くにたち農園の会
国立市谷保にある古民家を改修して作られたコミュニティスペース「やぼろじ」内にNPO法人くにたち農園の会の事務局があります。理事のすがいまゆみさんに、多岐にわたる活動についてお話を伺いました。例えばこちらでは、母屋の和室「つちのこや」(土+子+家)にて、国立市から地域子育て支援拠点事業の委託を受けています。
すぐそばにあるコミュニティ菜園「みんなの畑」は、区画会員、コミュニティ会員を選べ、畑を楽しむことができます。一角には一軒家の貸し出しもあり、イベントやレンタルスペースとして使われるそうです。
少し離れた「はたけんぼ」(畑+たんぼ)は、国立市の「農業・農地を活かしたまちづくり事業」のモデル農園です。田んぼ体験や貸農園を行っているばかりではなく、幼稚園や放課後クラブがここを拠点に活動しています。日野市にいたリトルホース、ジャックとダンディもここで皆に愛されているときき、安心しました。(この日は会えず小屋のみ撮影)生き物との共生もテーマです。
子ども達を支援したい、農地を残したい、そういう思いや願いがつながり、関わるひとを増やしていくことが大切だとすがいさんはおっしゃっていました。
私は父の実家が農家でしたので、夏休みに訪れ、のびのびと遊んでいた記憶があります。だからその風景や匂いに懐かしさを覚えます。子どものころの原体験は大切ですね。
だからこそ、多くの親が子どもにそのような体験をさせ、次世代につなげたいと願うのではないでしょうか。
食べることは生きることの原点です。生業としての農業者を支援していくことと並行して、100%消費者ではなく、誰もがほんの少し作り手になること、農が身近にある暮らしが、人を豊かにすると考えます。
日野市ではどのようにしたらそれが実現できるのか、今後も農のある暮らしづくり協議会の活動に注目しながら、私も考え、皆さんと取り組んでいきたいと思います。