サステナブルってなんだろう ~本物の持続可能性とは~

「日本のSDGs それってほんとにサステナブル?」という本をだされたノンフィクションライターの高橋真樹さん。電力自由化が始まったときや、市内で開催された「おだやかな革命」の上映会の際にもお話しを伺っていますが、その独特の語り口に魅了されます。
本の帯には「SDGsにモヤモヤしている人へ」とあり、モヤモヤしている一人として、高橋さんならきっとそれを晴らしてくれるに違いないと、講演会に参加しました(11月6日)
そのお話と本のエッセンスを、なおこ目線でお伝えしたいと思います。

●サステナブルってなに?
「持続可能な」と訳され、よく使われる言葉ですが、改めて問われると一瞬ドキリとします。国連の定義だと「将来世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求を満足させることだそうです。つまり目先だけでなく、将来世代のことを考えているかということです。
10年後、20年後の話をすると「その頃はもうこの世にはいないから」と、そこで話が終わってしまうことがしばしばあります。しかし気候危機を考えればわかるように、このままでは「持続不可能」だという現実が、いま私たちに突き付けられているのです。それは裏を返せば、これまで「持続可能」という視点が欠落していたということであり、そこを根底から変えていかねばなりません。
SDGsの正式名称は「我々の世界を変革する—持続可能な開発のための2030アジェンダ」です。覚悟をもって「変革する(トランスフォーム)」ことが求められています。

 

SDGsはウエディングケーキ
今はあまり見かけないかもしれませんが、3段のウエディングケーキを思い浮かべてください。一番下の土台に環境、次に社会、一番上に経済、それを縦につなぐのがパートナーシップ、これがSDGsの3D構図です。縦にも横にもつながっている、これがSDGsの特徴です。
土台がしっかりしていなければ、ケーキは崩れてしまいます。環境か経済か、何かの解決のために何かを犠牲にするという「トレードオフ」という議論ではないのです。

 

●なんちゃってが多すぎる
チョコレートの容器包装をプラスチックから紙に替えました。それは確かによい取り組みではありますが、小手先の「変化」に過ぎません。最終的にどのような企業を目指しているのかのビジョンが必要です。原料のカカオ収穫に児童労働がないか、輸入や生産の過程で大量のCO2を排出していないか、販売するエッセンシャルワーカーの労働条件はどうなのか等、SDGsをきっかけに全体を見直すことが伴わなければ、「変革」にはなりません。

 

●変えていくのはボイスチョイス
海外では企業や政治と市民の間に、緊張関係が働いているといいます。市民が声(ボイス)をあげる、市民の意見を聞く(特に子どもの意見を)、それが有機的に作用しあっているのです。教育で学んだ批判的思考が、実生活に活かされています。
例えば有名なブランド、バーバリーは売れ残った服を燃やしていましたが、国内外から大きな批判を受け、それを止めました。何故ならそういう企業はもう消費者から選んで(チョイス)もらえないからです。
日本において、このような市民力や教育を育んでいく必要があるという高橋さんの指摘に、深く共感します。

 

9月議会では、策定中の環境基本計画への市民参画を求めたところ、翌月オンライン併用の市民会議が実施され、貴重な意見交換の場となりました。次期市議選に向けた政策には、「オンラインも活用し、市民×職員のアイデアを市政に活かす」とさらに一歩踏み込んでいます。
日野市はSDGs未来都市に選定されています。それが「なんちゃって」で終わらぬよう、日野市が市民と向き合い、未来の世代を考えた本当に持続可能な政策を展開していくために、これからも力を尽くしていきたいと思います。

 

※この催しは多摩市市政施行50周年記念の一環として、一般社団法人多摩循環型エネルギー協会が主催し、恵泉女学園大学にて行われました。タイトルは「50年度も持続可能な多摩市のために、私たちがいま始めること」で、高橋さんの基調講演のあとは、第二部として市長、大学の教授、学生、市内の中学生も加わりパネルディスカッションがあり、素晴らしい企画でした。

 

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