忘れたっていいじゃない~若年性認知症当事者からのメッセージ~

本日、日野市商工会青年部主催の講演会「若年性認知症本人が語る 丹野智文の認知症の私から見える社会」をオンライン配信で視聴しました。

当事者の方から伺う話にこそ、真に必要とされる支援策のヒントがあります。30代で若年性認知症と診断された丹野さんからのメッセージは、心に響くものでした。その一端ではありますが、ご紹介したいと思います。

〇本人に聞いてね
認知症当事者をよそに、ケア・マネージャーと家族が何でも決めてしまっていませんか?本人の自己決定を応援してほしいのです。

〇本人も失敗はわかっています
失敗してしまったことは、本人もわかっています。でもなぜ失敗してしまったかがわからないのです。そこで「何で失敗するの!」と𠮟られると、ものすごいストレスになります。認知症にストレスは大敵です。そして迷惑をかけないようにと、次第に何もやらなくなって、できなくなってしまうのです。だから叱らないでくださいね。

〇失敗体験で終わらせない
「ほらだめじゃない」で終わると、それは失敗体験になってしまいます。でも「できたね」になるとそれは成功体験になります。それを積み重ねることが大切なのです。本人ができることの機会を奪わないで、説得ではなく納得を!

〇怒らなくたっていいじゃない
電気を消し忘れたって「消しといたよ~」でいいじゃないですか。トイレの電気を1時間つけていても、たかが0.8円、1円以下なんですよ。

〇忘れたっていいじゃない
自分が相手のことを忘れてしまっても、相手が自分のことを覚えているから大丈夫!

〇予防ではなく、備えること
認知症の予防はできません。必要なのは「備える」ことです。「助けて」といえる社会をつくる、それが認知症に備えることなんです。

〇スマホを駆使する
アラームやマップなど機能を使いこなすことも備えのひとつ。「起きる時間だよ~」「薬飲むんだよ~」とアラーム+メッセージをいれておくことが有効。

 

いかがでしょう。これって若年性認知症だけでないですよね。自分の生活や子育てにも通じるところが多々あると感じました。
病気の特性を理解することで、適切な対応ができます。「共に生きる社会」の実現には、誰もが当事者になり得る想像力も欠かせません。
お話の中に、家族の意見ばかり聞かないで、自分の声をきいてほしいとありました。一方でケアラー(家族介護者)は、周囲は被介護者の様子ばかり聞いて、ケアラー自身のことは聞いてくれないといいます。必要なのは両方の立場への想像力ではないでしょうか。
私も皆さんと一緒に、学びながら備えていきたいと思います。

【参考HP】

39歳で診断された丹野智文さんからのメッセージ【特集 認知症(2)】 – 記事 | NHK ハートネット

「認知症と診断された人のイメージ」に異議あり ~認知症当事者 丹野智文さんに聞く~ – 記事 | NHK ハートネット