持続可能なごみ処理のあり方を求めて(町田市バイオエネルギーセンター視察)
生活者ネットワークの仲間とともに、今年1月より稼動した町田市バイオエネルギーセンターを視察しました。(7月14日)
この施設の特徴は名称通り「バイオガス化施設」があることです。燃やせるごみの一部を発酵処理(乾式メタン発酵)し、発生したバイオガスによる発電を行っています。
全国でこのように廃棄物等を利用したメタンガス化施設は42あるようですが(※1)、乾式メタン発酵によるごみ処理施設としては、首都圏初となります。
施設整備費は旧施設の取り壊し等も含み、約312億円です。(※2)
バイオガス化施設の発酵槽の施設規模は50t/日(25t×2)、その他は258t/日(129t×2)規模の熱回収施設で焼却されます。
ごみピットでよく混ぜられたごみは燃えやすいので焼却し、投入されたばかりのごみがクレーンで取り出され、発酵処理に回されます。
町田市では、プラスチックや発泡スチロールも燃やせるごみの分別にはいっていますが(※3)、生ごみ等の有機性ごみとそうでないものに仕分けてあれば処理が楽なのではと思います。しかし、分別する市民の手間やごみの収集回数の増加等を考慮し、このような方法になったようです。
バイオガス発電の固定買取価格は、39円/kWhと高値です。1日あたり10,463kWh(※4)として、単純計算で丸ごと売電したとすれば、年間約1億5千万という試算です。有機性ごみを取り出してエネルギーに変えることで、焼却炉を旧施設より半分近く縮小化しています。
一方、日野市は広域化しても焼却炉を旧施設とほぼ同じ規模にとどめるよう、プラスチック類は分別回収して、資源化する施設を併設しました。
ごみは燃やさない—目指している方向性は同じです。そこに向けてどうアプローチするかです。ごみ処理をいかに環境負荷の少ないものにしていくか、コストとの兼ね合いの中、どこの自治体もまだ手探り状態であり、どこにも完璧な正解はないと感じています。もちろん、その前提にはごみそのものを減らしていく工夫が必要です。
町田市バイオエネルギーセンターは稼動したばかりですから、これから得られる様々なデータから、課題や成果が見えてくることでしょう。もちろん、単に費用対効果では計れない価値をどう評価していくかという視点もあります。大切なのは市民の納得感です。
だからこそ、みんなで決めていくことが大切です。
町田市では134名の市民委員が述べ290回にわたる会合を重ねたといいます。
日野市も30年後を見据え、日進月歩ですすむ技術をアップデートしながら、市民の皆さんと検討をすすめてほしいと思います。
【関連サイト】
※1 全国のメタンガス化施設リスト
※2 町田市熱回収施設等(仮称)整備運営事業
※3 町田市資源とごみの出し方ガイド
※4 町田市資源循環型施設整備基本計画
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