学級支援員の拡充を!~インクルーシブ教育をすすめていくために~(6月議会一般質問)
特別支援教育のパイオニアとも言われている日野市は、目指すべき「インクルーシブ教育」は、「ひのスタンダード」(※)であるとしています。果たしてそれで充分なのでしょうか。
これからを共に考えていきたいという主旨で、質問・提案しました。
※通常学級での特別支援教育のスタンダードとして冊子にまとめられています。
インクルーシブ教育って?
「多様な子どもが地域の学校に通うことを保障するために教育を改革するプロセス」とユネスコでは定義しています。
多様な子どもとは障がいの有無だけでなく、特性、ルーツ、社会的状況など、つまり子どもは多様であるということを前提に、すべての子どもの教育の保障を目指すというものです。
一方、文部科学省が進めている「インクルーシブ教育システム」は、これまで行われていた特別支援教育の延長線上で既存の枠組みを維持したまま、それに合わせるために子どもを支援するというものです。
ともに共生社会の実現をめざすものですが、そのアプローチには大きな隔たりがあります。
昨年9月、障害者権利条約に基づき、国連の権利委員会から日本政府に「分離する教育をやめ、すべての子が共に学ぶインクルーシブ教育を推進せよ」と勧告がありました。
国連の勧告は、まさにその隔たりをついてきたものと受け止めています。
学級支援員の役割の見直し・拡充を
この4月、第6次日野市特別支援教育推進計画ができました。計画を着実に進めていくことはもちろんですが、子ども達にとっては、まったなしの切実な問題です。パブリックコメントには特に学級支援員を増やして欲しいという声が複数寄せられていたことから、ある小学校の一年生の様子を視察させていただきました。
視察で感じたのは、子ども達の声にならないSOSを汲み取り、教員をサポートし、クラス全体を見守る—学級支援員は子どもと教員のパートナーとして欠かせない存在だと感じました。
現在、配置は学校全体で1名から3名となっています。長年現場に携わってきた学級支援員の方より伺ったお話では、特に新一年生は手厚く、しっかりみてあげることがその先の成長の土台となるということです。
教育委員会としては「大人がいっぱいいる教室がいいことか」と考えているようですが、「いっぱい」とは何人のことなのか。また、子どもの立場から考えているか疑問に感じます。
八王子市の学校サポーター制度では、サポーターを対象とした講座が充実しています。研修制度も含め、学級支援員の役割の必要性を見直し、拡充を求めました。
作業療法士(OT)の活用を
専門家との連携の点では、作業療法士(OT)の活用を提案しました。学校OTはまだあまり知られていませんが、アメリカではどの公立学校にも常勤し、クラス全体をインクルーシブにする大きな役割を果たしているといいます。近隣市でも学校訪問が導入されています。教育委員会ではその視点は十分に取り入れているといいますが、まずは先進事例の視察からでも、取り組みを求めました。
他にも実際の声かけや対応に役立つ教員のロールプレイ研修や校内委員会のあり方の見直し、さらに小学校入学前の相談体制についても問いました。
教育長からは「大事な視点をもらった」市長からは「財政面から支援していきたい」と前向きな答弁がありました。
インクルーシブ教育はまず理念の共有が大切です。そしてそれに伴う体制が必要です。だからこそ、「教育を改革するプロセス」だと理解しています。
これからも日野市らしいインクルーシブ教育とは何かについて、日野市こども条例の理念も踏まえつつ、質問を重ねていきたいと思います。
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