石川雅恵さん(UN Women日本事務所長)のお話にエンパワーされました!

東京・生活者ネットワーク女性部会の企画で、UN Women日本事務所長の石川雅恵(かえ)さんにご講演いただきました。UN Women(国連女性機関)はジェンダー平等と女性のエンパワメントのための機関です。(エンパワメント:その人が本来持っている力を発揮し、自分の意志で決定する力を身につけること)
地域からジェンダー主流化をすすめ、ジェンダー平等の実現を目指している生活者ネットとして、大きな視点から日頃直面している生活課題を見つめ直したいと思い、企画しました。石川さんは退任を間近に控え事務所長として最後の講演になるとのこと、大変貴重な機会をいただきました。

UN Women日本事務所はリエゾンオフィス(連絡事務所)という位置づけで、国連の取り組みの広報や啓発活動、資金調達などが主な仕事で、文京区のシビックセンターの一角に事務所があります。HPをご覧いただければ、多くの情報が発信されています。この中からポイントを横断的に、かつ具体的にお話いただきました。

◎SDGs 目標5 ジェンダー平等を実現しよう!

例えば、気候変動の問題とジェンダー。洪水による死亡率は女性のほうが高いのは、泳ぎを習う機会がない、そもそも肌を露出する水着を着ることができない、ケアする家族を置き去りにできないため、といった背景があるといいます。
SDGsの17の目標は、どれかひとつ取り出して進めるものでない相関性がよくわかります。持続可能な未来のために、すべての意思決定の場にジェンダーの視点が必要なのです。
ジェンダー平等というと男性vs.女性といった対立の構図に陥りがちですが、そうではなく常に欠けている視点を補い続けるということです。それは人種や障がいなどあらゆる差別と通じると思います。共に生き延びるために必要なことだという危機感をもって、取り組まねばならないことです。

◎メディアや企業も大切なパートナー

メディアや企業も大きな力を持っています。私はアンステレオタイプアライアンスに注目しています。メディアと広告によって有害なステレオタイプ(固定観念)を撤廃するための世界的な取り組みです。
こういった取り組みに参加することは、企業としての志と同時に厳しい目にさらされる覚悟を求められます。私たちは監視するだけでなく、評価することも大切だと考えます。それが取り組む企業を増やしていく好循環を生む、私たちの声や選択が、企業を動かしていくことができるのです。

リアルとオンラインのハイブリッドで行いました

◎日本の状況は

日本のジェンダーギャップの順位の低さ(2023年125位/146カ国中)をどう見ているか、質問しました。まずこれは世界経済フォーラムの取り組みであり、全体の達成度ではなくギャップに注目した指数であること、ジェンダー平等を達成した国はまだどこにもないことを前提に、日本ははじめの一歩を踏み出すのに時間を要する傾向があるのではと私見として述べられました。総論賛成、各論反対だから、他の諸国のスピード感から結果的に取り残されているのだと思います。
ジェンダー平等を本気で進めなければ、日本は海外から見て働きたいと思える魅力的な国ではなくなるだろうという指摘も、もっともだと思います。
その根底にあるのは、やはりジェンダー平等の必要性が腑に落ちていないからではないか、引いては意思決定の場にジェンダーの視点が欠けていることが、大きな要因だと考えます。

◎全てのジェンダーのひとがつながろう

UN Womenが立ち上げたHeForShe(ヒーフォーシー)は、全てのジェンダーの人々がつながり、ともに責任を持ってジェンダー平等を推進するムーブメントであり、私たちが生きている間にジェンダー平等を達成するために、世界中の人々に対してジェンダー平等実現へのアクションを呼びかけています。
日本からは岸田総理大臣とリクルートホールディングスの代表取締役社長兼CEOである出木場久征氏がHeForSheアライアンスのメンバーとして参加しているとのこと。特に岸田総理については、具体的な政策に結び付いているか、常にチェックしていかねばなりませんね。

これまで世界各地を飛び回り活動してきた石川さんは「現場が大切」と話されたのが印象に残っています。その通りだと思います。また、同じ年齢の子どもがいることもわかりました。石川さんは現在日本に単身赴任中ですが、一年間休職されてご家族と過ごされるとのこと、またいつかお会いできる日を楽しみに、私たちも地域でできることに取り組んでいきます。