子ども間の性暴力をなくすための体制と教育を(3月議会一般質問①)

これまでも子どもを含む性被害への対策や対応、性教育について質問を重ねてきましたが、今回は「子ども間の性暴力」に焦点をあてました。
子ども間の性暴力は子どもの「いたずら」として学校側に真剣に聞いてもらえないという現状、また知らぬ間に生徒間で合成した性的な画像を共有されていたという話を聞いたことがきっかけです。子ども自身もそれが性加害だと認識していない現状からだと思います。
もしも日野市で起きてしまった時の対応への備え、また未然防止のための性教育の現状を問い、提案につなげました。

日野市の体制は
質疑より「教職員等による児童生徒性暴力等が発生した場合の初動対応」にそって、日野市教育委員会の性暴力対策チームを中心に学校を支援すること、いわゆるデジタル性暴力の場合はすぐに警察に連絡をすることなど、確認しました。
三重県では「学校における児童生徒間の性暴力 対応支援ハンドブック」があります。初動対応に加え、こちらのハンドブックも参考に、あらゆるケースを想定しシュミレーションしておくこと、学校現場への徹底周知や研修を求めました。
被害を話してくれた子どもへの対応は、初動対応が最も重要です。「話してくれてありがとう」「あたなは悪くない」と冷静に伝え、情報確認は最低限にし、専門家に任せることが大切です。こちらのパンフレット「性被害を受けたこどもの理解と支援」を保護者に案内することを求めました。

こども家庭庁HPより

日野市の性に関する教育
2023年度より、全小中学校の全学年で「生命(いのち)の安全教育」が実施されています。年に1時限とはいえ、大きな前進です。全中学校で弁護士によるデートDV講座が実施されていることは評価していますが、3年生では遅いのではないかと、以前より見直しを求めています。助産師による「命の授業」も素晴らしいですが、実施しているのは一部の学校です。
これらはすべて、学習指導要領の範囲で行われています。妊娠の経過は扱わないといういわゆる「はどめ規定」があり、性交や避妊については教えません。
一方で、その範囲を超える内容を含む性の授業が東京都で実施されていますが、日野市で手をあげた学校は、現在まで一校のみです。

今年の2月に、子ども包括支援センターみらいくの中高生スペースで、「中高生世代のプレコンセプションケア~つきあうってどういうこと?」が開催されました。産婦人科医の高橋幸子さんを講師に、「まなブック」(レベル3)をテキストに行われ、参加した子どもたちは真剣に聞き入っていたそうです。
※ネットで公開されている内容は一部です。冊子では包括的性教育の指針である「国際セクシュアリティガイダンス」に沿った内容が含まれています。

包括的性教育をすべての子に
一部の学校や参加者ではなく、公教育においてすべての子どもたちが包括的性教育を受けるべきだと、日野ネットは求めています。これについて教育長に見解を問うと、子どもに対しては共通と個別を区別して指導するという国の立場や、昨今の取り組みの説明が中心ではありましたが、「性暴力は根絶していかねばならない」という強い気持ちは示されました。堀川教育長からの答弁はこれが最後です。文部科学省に戻られたら、日野市での体験を、議会で届けた声を、全国の子どもたちのために活かしてほしいです。
市長は「人生の初期だからこそ、包括的性教育は必要だ思う」と個人的見解として明言しました。

日野市子ども条例には「守り守られる権利」があります。子どもには、自分や相手の心とからだ、その関係性を学び、尊重することを学ぶ権利があります。もちろん教育だけでは防げませんが、教育なくしては防げません。私たち大人も、人権について学び、子どもが影響を受ける社会環境をよくしていく責任があります。これからも、皆さんとともに取り組み続けます。

★一般質問の動画はこちらからご覧いただけます。

【相談窓口】
児童・生徒を教職員等による性暴力から守るための第三者相談窓口|生徒・保護者|東京都教育委員会
性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業について|犯罪被害者等支援事業|東京都総務局人権部 じんけんのとびら
子どもオンブズパーソンの相談方法|日野市公式ホームページ

【関連報告】
6月議会報告~日野から広めよう、命と性の教育を!~ | 白井なおこ
第4次日野市男女平等行動計画への要望書を提出しました! | 白井なおこ
性教育は人権教育!(アーニー出版視察報告) | 白井なおこ
子どもが主役の学校に!(6月議会一般質問) | 白井なおこ
こどもの性被害を未然に防ぐために(12月議会意見書等) | 白井なおこ
学校で包括的性教育を進めていくために | 白井なおこ

【関連サイト】

CEDAW/C/JPN/CO/9
※女子差別撤廃委員会の最終見解にも、年齢に応じた包括的な性に関する指導が、定期的な授業の提供を通じて学校の教育課程に適切に組み込まれることが求められています。
日本弁護士連合会:学習指導要領の改訂に当たり「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」に準拠した包括的性教育を盛り込むよう求める会長声明