刑法の性犯罪規定の見直しにむけて(12月議会意見書)

12月議会では「刑法の性犯罪規定の見直しに関する意見書 」に取組み、全議員の賛同を得て国に提出することができました。全文はこちらをご参照ください。

2017年、刑法の性犯罪に関する規定が110年ぶりに改正されました。110年といえば明治時代のままだったということに、改めて大きな衝撃を受けます。主たる被害者である女性の声が、人権が、ないがしろにされてきたというほかありません。
2017年の改正は大きな前進ですが、まだ積み残しの課題が山積しています。
現在国では、以下の10項目について審議がすすめられています。以下、少々小難しい文章ですが、諮問事項をそのまま引用します。ポイントを赤字にしています。

第一 相手方の意思に反する性交等及びわいせつな行為に係る被害の実態に応じた適切な処罰を確保するための刑事実体法の整備

一 刑法第百七十六条前段及び第百七十七条前段に規定する暴行及び脅迫の要件並びに同法第百七十八条 に規定する心神喪失及び抗拒不能の要件を改正すること。

二 刑法第百七十六条後段及び第百七十七条後段に規定する年齢を引き上げること。

三 相手方の脆弱性や地位・関係性を利用して行われる性交等及びわいせつな行為に係る罪を新設すること。

四 刑法第百七十六条の罪に係るわいせつな挿入行為の同法における取扱いを見直すこと。

五 配偶者間において刑法第百七十七条の罪等が成立することを明確化すること

六 性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)に係る罪を新設すること。

第二 性犯罪の被害の実態に応じた適切な公訴権行使を可能とするための刑事手続法の整備

一 より長期間にわたって訴追の機会を確保するため公訴時効を見直すこと。

二 被害者等の聴取結果を記録した録音・録画記録媒体に係る証拠能力の特則を新設すること。

第三 相手方の意思に反する性的姿態の撮影行為等に対する適切な処罰を確保し、その画像等を確実に剝奪 できるようにするための実体法及び手続法の整備

一 性的姿態の撮影行為及びその画像等の提供行為に係る罪を新設すること。

二 性的姿態の画像等を没収・消去することができる仕組みを導入すること

意見書では、コロナ禍において子どもが性犯罪に巻き込まれる事件が多発している状況を考え、特にその視点を盛り込んでいます。
検討会で重ねられた議論の取りまとめ報告書を踏まえ、審議会での審議の行く末に注目しています。いずれにしても、被害当事者の目線を大切にして欲しいと思います。

被害者が性暴力を訴えたときに、被害者に落ち度があるようにすり替える社会には絶対にしてはいけません。生活者ネットワークでは、毎月「フラワー遊説」を行っています。これは毎月11日に全国各地で花を持って自らの体験を声にし分かち合う「フラワーデモ」に連帯した行動です。
ともに声をあげ、暴力のない社会を目指していきましょう。

【参考サイト】

性犯罪に関する刑事法検討会 取りまとめ報告書

法制審議会-刑事法(性犯罪関係)部会

一般社団法人Spring

生活者ネットワークの仲間と行うフラワー遊説