暮らし・建物・地域のタテナオシを(立川居住支援セミナーより)

立川市居住支援協議会主催のセミナーに参加しました(12月20日)。
そこで聞いたRenovate Japan代表の甲斐隆之さんのお話は、8月の六甲ウィメンズハウス10月の座間市の視察等から学んだ居住支援の必要性ともつながり、深く共感するものでした。

お話はグラフィックレコーディング(グラレコ)で見事にまとめられました

貧困と空き家の問題はなぜ結びつかないのか
「世の中は、多数派にとって最適につくられており、少数派がのっかれない社会の構造となっている」と甲斐さん。そうですね、だから大切なことを決める場の多様性が求められます。自身の経験から、貧困問題の解決に取り組んできた甲斐さんは、既存のセーフティネットが十分に機能していない現状に課題を感じてきました。
家がなければ仕事も得にくく、仕事がなければ家は得にくい。空き家は増加する一方で、家に困るひとも増えている。貧困と空き家の問題はなぜ結びつかないのだろうかと疑問がわきあがります。

社会の余白を活かす
家と仕事を同時に得られれば、その人の人生の再生につながるのでは。そう考えた甲斐さんは、市場にでていない空き家をタテナオシ、事業として収益をあげる仕組み(シェアハウスなど)、新しい居住支援のカタチを考えだします。
空き家の一室を改修、そこに住まいながら、甲斐さんの会社のスタッフや地域の工務店などの人とともに、仕事として残りの改修に携わることで収入を得ます。住み込みで空き家改修に参加するひとをリノベ―ターと呼び、これまでに5人のリノベ―ターが卒業しています。
私も認知症の質問のとき、当事者も「ともにはたらく」仕組みを提案しましたが、「支援される」という受け身の立場でない「役割」があることが大切だと考えます。
空き家は家主の思い入れがあるため、どうしたらよいのかという迷いから、結果的に放置となるケースが少なくありません。しかしこのやり方は社会貢献にもつながると、家主から、また地域からの理解も得やすいといいます。改修後にそこに住む人も、住むだけで社会貢献に参加できるのです。

社会にある「余白」を活かしていくことで、多数派に拮抗(きっこう)していこう、このやり方を、全国に広がった「子ども食堂」のように社会現象化していきたいと甲斐さん。タテナオシ事業を広めるためコーディネーター派遣なども予定しているそうです。
日野市の空き家事業は先駆的ですが、さらに居住支援にもつながるよう、タテナオシ事業を提案していきたいと思います。

こちらは第二部の内容です