タブレット学習の弊害にも目を向け 子どもの学びを考えよう!(9月議会一般質問①)

「子どもが就学するにあたり、タブレット学習の子どもの脳への影響が心配です。」
市民の方よりお声が届きました。では一緒に学んで考えましょうと7月に学習会を開催し、光と影、プラスとマイナスの双方をきちんと見すえ、これからを共に考えていきたいと質問に挑みました。

●学習会で学んだこと
講師はこの分野にお詳しい、大阪教育文化センター事務局次長の田中康寛さん。子どもの脳は様々な体験を通してシナプス(神経細胞の接続)が形成され、言語や行動を獲得します。しかし幼少期から二次元の世界にいると、その発達が阻害されてしまうといいます。
北欧諸国やアメリカ、ニュージーランドなどデジタル教育の先進国では、子どもの学力や体力の著しい低下、暴力的な行動や落ち着きのなさなどが顕著にみられたため、利用制限を設けるなど大幅な軌道修正、アナログへの回帰がすすめられています。教育効果の確たる証拠がなく、弊害のほうが大きいと判断したためです。
特に印象に残ったのは、中学校2年生までICT機器を一切使わない学校に通う子どもの75%が、シリコンバレーにある優良ハイテク企業の幹部を親に持つそうです。質の高い教育を受けさせたいということなのでしょうか、なんとも皮肉な話です。
はじめにICTありきではなく、はじめに子どもの発達・成長ありきで、10~12歳ぐらいまでは使用を控えることが大切だと学びました。


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●日野市の現状は
日野市では20年前よりICT教育を推進する先進市で、モデル校となった小学校2校では一人一台端末が導入され(4年生以上)、活用方法やセキュリティ等の蓄積があるといいます。しかし、それが子どもの学びとどう結びついているのか、教育効果は見えにくいと感じます。
また全小中学校で一人一台端末が導入されてから(全学年)、5年が経過しました。どのくらい、どのように学校でタブレットを使っているのでしょうか。
「ほぼ毎日」が小学6年生で約5割、中学3年生で約7割ということですが、使用時間や連続性など細やかな実態は分かりません。低学年から段階的に使用しているといっても、使用時間の上限や目安の取決めはないとのことです。
持ち帰りについても、学校によりまちまちです。不適切なサイトにアクセスできないようフィルタリングをしているといいますが、有害サイトにアクセスしている実態もあるようです。学習以外の用途に使うから持ち帰らせないでほしい、という保護者の声もあります。
導入前後で学力や体力に顕著な変化はみられませんが、東京都の調査結果では視力は著しく低下しています。ゲームやスマホなど要因は複数かと思いますが、一人一台端末の影響は否定できないはずです。

●リテラシー教育とAI
全学年を通じて東京都教育委員会が作成したデジタル教材GIGAワークブックとうきょう等を活用しているとのことです。さらに今年度より、AI時代における情報リテラシー教育のためのデジタル教材開発の指定校(小中各1校)になっているといいます。アルゴリズムの仕組みを知ることは、情報に利用されるのではなく利用していく上で、非常に重要と考えます。
また、AIを活用した教育ツールが出回る中、導入判断が学校任せになっている現状に、専門家も警鐘を鳴らしています。どのような教材をどのように活用するのが望ましいのか、教育委員会としても支援体制や方向性を示す必要があるのではと指摘しました。

●デジタル教育先進国からのメッセージ
ノルウェーの教育相、ノルトゥン氏は、読売新聞のインタビューに対し、日本は私たちが犯した過ちを繰り返さないようにと助言したいと答えています。そして、「必要なのは、集中力を鍛えて根気を育てる教育手法だ。小学校1年生から4年生においては、特にデジタル化は慎重でなければならず、学校の授業時間を支配すべきではない。必要なのは、友達と遊ぶこと、社会性を身につけること、先生との信頼関係を築くこと、読み書きや算数の基礎を学ぶことだ。」と語っています。この助言は、重く受け止めるべきではないでしょうか。

●日野市のこれから
諸外国の軌道修正の受け止めについて問うと、デジタルと紙のバランスの適正化を図るものと捉えており、教育委員会としては、これからもデジタルや紙のそれぞれの特性を生かしながら、子どもの発達に応じて段階的にタブレットを活用していくという答弁でした。
とはいえ利用の基準もなく、持ち帰りについても各学校の判断です。バランスの適正化はどのように担保されるのでしょうか。ICT教育は必要ですが、活用開始は4年生からにすること、持ち帰りは基本的にしないようにすることの2点の見直しを提案しました。

教育長からは、弊害にも目をむけつつ現在運用をしている。日本は海外と比べて活用状況が全く低いが、制限などは参考にしながら考えたい。ICTは教育全般に関わるあくまで道具であり、自分の頭で考えて、自分の言葉で表現できる子どもを育てていくのが教育の一番大きな役割であるという答弁がありました。
東京都で教育行政に長年携わっていらした副市長からは、デジタルを活用した教育というのは日野市の最大の強み。プラスとマイナスの両方をしっかりと理解した上で、さらなる推進を後押ししたいという答弁がありました。

まさに教育の根幹に関わる深く難しいテーマであるゆえに、開かれた場での議論、これが地域全体でリテラシーを高めていくことにもつながると考え、検討を求めました。アメリカでは保護者や子どもたちも立ち上がり、行き過ぎたデジタル教育に声をあげ、軌道修正したそうです。
引き続き皆さんと考え続けていくことが、大切だと感じています。ぜひお声をお寄せください。

【関連サイト】
ホーム – 「日野市GIGAスクール構想」日野市教育委員会 教育指導課