子どもの人権を守るために(6月議会一般質問)

6月議会では「子どもの人権について~子どもオンブズ・条例委員会の設置を急げ!~」と「地区センターのこれから」と題し、二つの質問をしました。

 

子どもの人権について

3月に東京都議会において「東京都こども基本条例」が全会一致で可決されました。これは生活者ネットワークが30年余にわたって取り組んできた悲願の条例です。
一方、日野市では「日野市子ども条例」ができて今年で13年目です。東京都に先駆けてできた条例が活かされているか、先進自治体としてお手本になっているか、子どもの人権をテーマに切り込みました。

〇身近な「当たり前」から考える

小学校に入学すればランドセル、中学校に入学すれば女子はスカート、男子はズボン。それ以外を子どもは選べないのでしょうか。教育委員会の回答は「そうでなくても構わない」とのこと。そうであるならば、それが事前にわかりやすく伝わる周知の工夫を要望しました。
制服の性別指定は「らしさ」の押し付けジェンダーです。誰もが選びたいものを選べる、それを互いに認め合う環境整備を合わせて求めました。

〇守り・守られる権利は保障されているか

若年層の妊娠や性被害、性感染症の背景には、性教育の欠如が指摘されています。東京都教育委員会でもそれを課題として受け止め、現在の学習指導要領の範囲を超えた内容を含む性教育のモデル授業始めており、日野市でも実施してほしいと思います。しかし、学校としては保護者から事前承諾を得るのがハードルになっているようです。
性教育は自身を守り、相手を尊重し、関係性を育む人権教育です。教育委員会からは、教員と保護者が対話をはじめることが大切であるとの見解でした。目の前の子ども達にとって本当に必要なことを教えてほしいですし、子どもは学ぶ権利があります。

一方で、国の初の全国調査で中学校ではクラスに2人程度はいることが明らかになったヤングケアラー、家族の世話や介護を担う18歳以下の子ども達は、勉強する時間も、友達と遊ぶ時間も、睡眠時間も削られ、助けを求めることもできません。子どもの人権の視点にたったヤングケアラー支援に向けて、まずは実態調査を求めました。

〇日野市の「こども条例」に命を吹き込むために

コロナ禍で拍車がかかり、子どもへの虐待件数も児童生徒の自殺者も過去最多を更新、貧困、いじめ、不登校、ひきこもりなど、声にならない子ども達の叫びが聞こえてくるようです。

「日野市子ども条例」に保障された権利を具現化する子ども条例委員会の設置と子どもを救済する第三者機関子どもオンブズパーソン制度(※)を、日野ネットはこれまでずっと求め続けてきました。東京都も子どもの権利擁護に対する推進体制や財政措置を推進していく方向性、また日野市も(仮称)子ども包括支援センターを設置する流れの中、いまこそ真剣に検討をすすめることを、再度強く要望しました。

市長からは、「これまで大人の視点でやってきたことは否めない。人権の視点にたって条例にふさわしい運営の仕方を検討していく」旨、答弁がありました。
その言葉を信じて、これからも設置に向けて取り組んでいきます。

※子どもオンブズパーソン制度
子どもを救済するための公的な第三者機関。勧告権や調査権を有する。子どもの話を聞き、子どもにとっての最善の利益を考えた解決方法を共に考える。

左は中学校で配布している生徒手帳サイズの冊子。右の冊子は市役所等で入手できます。
配布だけでなく中身について子ども達に理解してもらうことが大切です。

地区センターの運営を個別委託に!

市内66ケ所もある地区センター。皆さんは年に何回利用しますか。身近にありながらも利用したことない方も、多いかもしれません。年間稼働率は約16%、とてももったいないことです。

現在その運営を一括受託している日野市企業公社は、1995年に日野市100%出資で発足した株式会社です。日野市の行政サービス事業の受託をしていましたが、その役割を終えたとして2023年度を目途に事業受託を終了し、その後解散します。

その後の運営は、現在も一部運営を再受託している自治会をはじめ、市民団体、NPOやワーカーズといった多様な担い手にそれぞれ地域の事情に合わせた個別委託が望ましいのではと提案しました。長期計画はこれからつくられます。計画策定には、多くの市民が参画し、一緒にあり方を考えていくことを求め、市もその方向性であることが確認できました。

皆さんも是非いっしょに考えていきましょう!

 

※動画は後日こちらからご覧いただけます。

 

【関連リンク】

「東京都こども基本条例」については、東京生活者通信356号をご参照ください。

★2018年3月議会における子ども条例について質問は、こちらをご参照ください。

★2018年9月議会におけるヤングケアラーについての質問は、こちらをご参照ください。

★2018年12月議会における地区センターの質問はこちらをご参照ください。