ケアラーの声にならない声に耳を澄ませて~ケアラー支援プロジェクト報告会より~

私もメンバーだった「ケアラー支援 政策提案のための調査プロジェクト」の報告会がありました。(4月13日 都庁内会議室)

私達はまずケアラー、元ケアラーより丁寧な聞き取り調査を行いました。ひと口に「ケアラー」といっても、ケアを受ける人は乳幼児から高齢者、障がいのある方まで多様です。またケアする期間、連続性や多重性など、その形態も様々です。

インタビューを通して見えてきた実態、課題を改善していくために、どのような支援が必要なのかを話し合い、政策提案につなげました。それをまとめたのが、この報告書です。

インタビューでは声のトーンや長い沈黙など、紙のアンケートからは伝わってこない、ケアラーの心情が伝わってきます。プロジェクトのメンバーの一人は「ケアラーがパッと顔を輝やかせて話したのは『ケア以外のことでやりたいと思うこと』という質問だった。それまでとは対照的に楽しそうに語る様子が強く印象に残った。」と報告しました。おそらく、ケアラーはそういう問いかけを長らく誰からもされてこなかったのだと思います。封じ込めていた自分を取り戻した瞬間だったのかもしれません。ケアラーの人権に焦点をあてることがケアラー支援の核となります。

また「最後の切り札と大事にとっておいた介護休暇は、いつ使うのが最適かわからず、結局使わないで終わった」という経験談もありました。制度があっても、「使える」制度でなければ、有効に活かすことができません。

ヤングケアラーが注目され、国や都が調査や予算化をしてきたのは大きな前進です。しかしヤングケアラー支援は入り口であり、そこからどうケアラー全般の支援へとつないでいくかが大切です。

ケアの社会化を基軸に家族はあくまでサポート役というしくみで「使える制度」「あってよかったと思われる支援策」を皆さんとともに考え、形にしていければと思っています。
皆さんのお声をお寄せください。

アドバイザーの堀越栄子さん(日本ケアラー連盟代表理事/右から4番目)とプロジェクトメンバー