子どもが安心して暮らせる環境を(二葉学園視察)

10-11月は里親月間、11月は児童虐待防止推進月間です。日野市でもふたつの講演会が開催され、それぞれ参加しました。

親の虐待や病気等の理由により親元で暮らすことができない、いわゆる社会的擁護を必要をする子どもは、都内に約4,000人。多くは児童養護施設で暮らしています。府中・生活者ネットワークの西のなお美市議のコーディネイトで、児童養護施設「二葉学園」を仲間とともに視察しました。

家庭的な雰囲気の中で

昭和22年に創設という長い歴史がある二葉学園は、現在は本園の他に、調布市・府中市に8つの分園(グループホーム 各定員6名)を運営し、2歳から18歳まで(20歳未満まで可)の子ども達が暮らしています。

この度本園と、2カ所の分園を視察させていただきましたが、どれも明るく気持ちの良い空間で、夕方には夕飯をつくる音やにおいがしてくる、とても家庭的な雰囲気でした。何人か子ども達にも会いましたが、それぞれくつろいでいるように感じました。

グループホームの個室の様子

ここで暮らす理由はそれぞれですが、厚労省の調査によると圧倒的に多いのが「虐待」、次いで「父・母の精神疾患等」だといいます。虐待を受けていた子ども時代(次はいつご飯がたべられるのだろう)という不安を常に抱えていたという声を報道で聞きました。ここでは五感で食事を待ち遠しく感じることができ、それは何より心の安定につながるのではと思いました。
特にケアを必要とする子ども達には、心理士等による面談も行われています。退所後についても、個別支援計画をつくり丁寧に取り組まれているようです。

 

ショートステイ事業

本園には、自立や家庭復帰に向けた準備期間のための部屋(アパートのようにキッチンやバス・トイレがある)もあり、そこで多摩市と狛江市のショートステイ事業も担っています。ショートステイ事業とは、親の病気やレスパイト(休息)等の理由で一時的に子どもを預かる事業です。複数の専任職員の確保が必要ですが、利用料や委託費の自治体間格差もあるなど厳しい現状も伺いました。育児不安・育児疲れの利用理由が近年増加しているようです。

日野市においては至誠学舎立川に委託しています。やはり利用延べ件数は年々増加し、昨年度は400件を超えているとのこと。虐待を未然に防ぐ観点からも、制度を知らないという人がいないよう周知が必要です。一方で、利用内訳を分析し、根本的な課題の解決につながる取り組みも必要ではないかと思います。

 

里親への支援事業

二葉学園では、多摩児童相談所管内にお住いの里親養育支援等のフォスタリング機関も担っています。里親への理解を広め、担い手を増やしていくためにも、このような支援機関は大切な存在です。

日野市の里親制度の講演会(10月25日)では、里親のもとで暮らす子どもは社会的擁護を必要とする子どもの約16%に過ぎないと聞きました。里親のなり手を増やすためにも、継続的な支援の充実が求められています。

国は施設よりも里親という方向性ですが、二葉学園のような配慮の行き届いた施設を見ると、どちらが望ましいとは一概には言えないようにも感じます。大切なのは、その子にとって安心して暮らせる環境を整えること、子ども自身が選択できることではないでしょうか。

 

虐待をなくしていくために

同時に、親元で暮らせない大きな要因である虐待をなくしていくことが大切です。
児童虐待の件数は全国で20万件(2020年度)を超え過去最多、日野市でも今年度は900件を超えるのではと推測されています。

日野市の児童虐待防止の講演会(11月10日)では、報道されるような虐待事件は最終的な局面であり、それを未然に防ぐための取組みのプロセスとして、下記の協働図をよく理解してほしいと話がありました。また虐待が疑われる情報提供は、その親子を救うという視点で迷わずしてほしいことも強調されていました。(ダイヤル#189(いちはやく))
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児童虐待対応における協働関係図のサムネイル

厚労省HPより

子どもは親を選べません。でも養育環境は、支援につながれば変えることはできます。地域の私たち一人ひとりが「子どもの最善の利益」という視点を持つことで、救えるいのちがあるはずです。私もOSEKKAI(おせっかい)を心がけ、皆さんと一緒に取り組んでいきたいと思います。

前列左より 奥村さち子(府中市議)まつざき淑子(狛江市議)安田けいこ(小金井市議)千葉さきえ(江東区議)林まい子(昭島市議)岩崎みなこ(多摩市議)後列左より 白井、白石えつ子(東村山市議)沼田たか子(葛飾区議)西のなお美(府中市議)

 

【関連サイト】

ショートステイ|日野市公式ホームページ (hino.lg.jp)

東京都の里親制度について 東京都福祉保健局 (tokyo.lg.jp)

(仮称)日野市子ども包括支援センターについて|日野市公式ホームページ (hino.lg.jp)

児童虐待防止の推進|日野市公式ホームページ (hino.lg.jp)