女性が暮らしやすいまちに~生活者ネット都内自治体調査から~

6月15日、東京・生活者ネットワークは都内49自治体を対象に行った調査「女性が暮らしやすいまち~女性の安全安心調査プロジェクト」について、記者会見を開きました。
セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)、ドメスティック・バイオレンス(DV)、性暴力に関する取り組みについて全32問のアンケートを依頼し、23区と25市より回答があったものです。
★調査の詳細、当日の配布資料や動画等はこちらをご覧ください。

調査の背景にあるもの

近年、官僚や首長、議員など公人によるセクハラ、フラワーデモに象徴される性暴力の問題、そして新型コロナ感染症対策による外出自粛で増加しているDVなど、女性への暴力は後を絶ちません。
東京ネットは、これまでも各地域での議会質問や地域活動を通して女性への暴力根絶を訴えてきましたが、昨年新たにプロジェクトを立ち上げ、制度についての学習会や当事者・支援者へのヒヤリング、専門機関の視察などを実施のうえ質問を作成しました。
今年2月から自治体調査を実施、生活者ネットワークとしてここまでの施策をしてほしいという理想を100点として配点して、回答の合計点をランキングしました。

ランキング結果をどう受け止めるか?

最高の日野市で54点平均で33.92点という全体的に点数の低い結果となりました。これは、自治体施策として義務化されていない部分でのセクハラ対策、DV被害者支援、性暴力被害者支援施策の必要性への認識が低い、つまり優先順位が低いことによるものと思われます。今回の調査でそれが見える化されました。
これらは男女平等行動計画といった計画の中に位置づけられ、施策はそこに根拠づいているはずですので、計画自体を見直し、全体の底上げが求められます。

私は早々に6月議会の一般質問でこの調査結果から性暴力支援の充実にテーマを絞りこみ、質問しました。市長からは「1位とはいえ、あと50点分頑張らねば」とあり、調査と質問の意図を組んでもらえたと感じています。

この調査をどう活かしていくか?

アドバイザーの皆川満寿美さん(中央学院大学准教授)からは、「日本は、この領域についての施策は極めて遅れている。DVを除きこれら全般に被害者を保護支援する法律は存在していない。性暴力被害者のためのワンストップセンター設置については、47都道府県に一つというレベルであるが、国連がつくっているハンドブックでは20万人に一つ、とされている。中央政府、地方政府ともに、真剣な取り組みが望まれる。そのために、この調査が役立てられることを強く期待している。」とコメントいただきました。

生活者ネットワークは地域政党です。地域から声をあげ、東京都や国を変えていきます。自治体での優先施策の考え方や予算配分などを変えていくために、この調査を単なる点数化のランキングに終わらせず、有効に使ってさらなる提案につなげ、施策全体の底上げをしていくことで女性への暴力根絶、ひいてはジェンダー平等社会の実現を目指し取り組んでいきます。

前列右より、皆川満寿美さん(アドバイザー:中央学院大学准教授)、ドゥマンジュ恭子(都政担当政策委員:調布ネット)、じつかわ圭子(プロジェクト・リーダー:東大和ネット)、後列右より、伊藤ひとみ(セクハラ防止チームリーダー:江戸川ネット)、山内れい子(東京ネット都議会議員)、須藤延恵(DV防止チームリーダー:練馬ネット)、曽根文子(DV防止チーム:杉並ネット)、木下安子(DV防止チーム:調布ネット)、白井なおこ(性暴力チーム:日野ネット)