武蔵野市の給食センターを視察&試食しました!

生活クラブ生協の食と農政策委員会主催による武蔵野市学校給食センター視察に参加しました。(7月10日)
武蔵野市には小学校12校、中学校6校あり、学校給食はセンター式、親子式(ひとつの学校で調理し、もう一つの学校に届ける)、自校式が混在しています。
センターとなる共同調理場は現在2カ所あり、今回視察したのは3年前に建て替わった桜堤調理場です。以前鑑賞したDVD「希望の給食」にも登場していましたし、最近テレビでも紹介されていました。ここでは中学校6校、小学校2校へ約3000食を届けています。

学校給食の運営は、市が設立した「一般財団法人 武蔵野市給食・食育振興財団」に業務委託しています。中学校給食の全校実施にあわせて2010年に設立されたそうですが、このように財団が担う仕組みは全国でも非常にめずらしいそうです。
民間委託だと、契約先が変われば業者が入れ替わってしまいますが、財団では市からの派遣職員やプロパー職員がいますので、安定的に市が直営で実施してきたことを継承できます。
また、民間業者のように利益を求めない分、給食の質の向上にあてることができるといいます。栄養士も東京都からの派遣は移動があるので、受け入れていないとのことです。
センター式を取りいれても民間参入を促すのではなく、公的な役割と質を守るために考えだされたスキームが、武蔵野市では「財団」なのだと理解しました。

蒸気式の回転釜の容量は400リットル、一度に1000人分の汁物を作ることができる

武蔵野市では、地元農業者と顔の見えるつながりや食材のこだわり、加工品を使わない手作り調理を大切にしているといいます。これは日野市も同様ですが、武蔵野市では、有機農産物や特別栽培農産物の使用がすすんでいます。
「武蔵野市学校給食の献立作成及び給食調理の指針」では、食材選定の指針に「有機JAS」や「特別栽培農産物」という言葉が明記されています。米も指定生産者から購入し、有機栽培、無農薬栽培、特別栽培のものを優先購入するとあります。実際、この日の食材記録を見ると「無農薬」「特別栽培」という記載があちらこちらにありました。いわゆる「オーガニック給食」と自らうたう気は特にないそうですが、食材へのこだわりを感じました。

また地元野菜導入促進のため、JAには給食部があり、栄養士と話し合いながらコーディネートしているそうです。使用率は24%ほどだといいます。
日野ネットは有機農産物の学校給食への段階的導入を求めていますが、できれば地元で有機農業に取り組む農業者の後押し、そして広がりにつながればと考えています。

メニューはスパゲティ肉みそかけ+コーンとキャベツのソテー+かぼちゃのホカホカ煮+低温殺菌牛乳

この日は直接見ることができませんでしたが、泥付き野菜の泥を落とす洗い場もあります。また調理の動線も工夫されています。設計段階から、作り手の意見を取り入れるのは重要なポイントだと思います。
こちらの調理場では未就学児やPTAの試食が行われたり、学校には行きづらい子ども達が給食を食べにくることもできるようです。また災害時には、市内避難所に炊き出しの支援を行う防災機能もあります。
このような様々な役割を果たしている共同調理場ですが、もう一つの古い北町調理場(現在小学校5校に提供)のほうは将来的には閉鎖し、学校建て替え時に小学校すべてで自校式を目指しているといいます。やはり作って運ぶのではなく、直前まで調理でき、作りたてを提供できる自校式の良さが評価されているということかと思います。

日野市は全校自校式、地元野菜の使用率も30%を超えているのですから、ある意味目指すべき学校給食のお手本だと思います。しかし、その素晴らしさを知らない市民がいれば残念です。もっとその良さを誇りに感じてもらうためには、給食を試食できる機会がもっとあればよいのではと考え、提案しています。
こちらの財団では、夏休み中まだ一回だけのようですが、地域のコミュニティセンターで「コミュニティ食堂」を開催しているというので、参考にしたいです。

お話してくださった栄養士さんは、調理員の方々にはぜひ「給食の力で子ども達の未来をつくる」ことを意識しながら日々の仕事に取り組んでほしいと話されていました。人間の身体は食べたものでできています。食育についてまずは大人が理解を深め、それぞれの地域で学校給食を大切にしていきたいですね。

美味しくいただきました♪

【関連サイト】

武蔵野市の学校給食について|武蔵野市公式ホームページ (musashino.lg.jp)

日野市学校給食食品安全指針

【関連報告】

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