エッ?防災+給食センターを兼ね備えた施設 !?~福生市の取り組み~

2月3日、福生ネットの三原議員のコーディネイトで福生市防災食育センターを視察に訪れ、学校給食課長の萩島さん、安全安心まちづくり課長の田中さんを中心にお話を伺いました。

ここは市内小中学校全10校に学校給食4,000食を提供する一方、災害時には避難所(約310名対応)として機能するほか、想定避難者15,000人の3日分の応急給食(災害発生4日目以降)を提供する施設です。東日本大震災を契機とした防災意識の高まりを背景に、防災施設として防衛省からの補助金を得て建設、2017年9月より稼動しています。福生市ではこの施設稼働によって、中学校での給食が始まりました。

応急給食の内容は、1日1回おにぎり2個と乾燥具材を用いた味噌汁です。それを調理するためのエネルギー源(プロパンガス)や水の確保もあります。米は常に4,500㎏を備蓄、給食で一日約300㎏を使用するため、その日のうちに同量を補充、いわゆる回転備蓄で一カ月以内に使い切るとのことです。おにぎりを自動で作りラッピングまでする機械もあります。

一方、調味料入りみそ粉末と乾燥具材にお湯をいれて作る味噌汁の方は、賞味期限は5年間、計画的に学校給食や防災訓練で消費します。給食提供の際には、具材を追加するなどのひと工夫をしているそうです。

調理には最新の機器が導入されていますが、驚いたのは残飯の自動データ化です。どのクラスのどのメニューの残飯率が高かったのか機械が計測記録し、そのデータを献立部会で検討し、味付けの工夫など次のメニューに活かすそうです。そのことが残飯を減らし食品ロスを減らすことにもつながります。

また残飯や野菜くずなどは、すべて生ごみ処理機で微生物の力により24時間で生分解し、遠くまで運搬するエネルギーを消費せずにすんでいます。回収した牛乳パック(※)や割れた食器はリサイクル、循環型運営の意識を感じました。
※牛乳の紙パックは法改正により4月より業者が回収しなくなるため、こちらの運営を担う委託会社がリサイクル処理します。

給食における地元農産物利用率について質問したところ、地場産野菜(福生市は農地が少ないため、近隣の羽村市、瑞穂町を合わせた二市一町で採れた野菜を指します)の利用率は算出が難しく数値化できていないそうですが、給食で使用する回数を増やしていくことを目標としているとのことでした。ちなみに日野市の数字は29.8%(2018年度)、達成に至る農家および関係者の皆さまのご努力を改めて感じました。

温かいものは温かく、冷たいものは冷たいまま配送するという工夫もなされています。またアレルギー食の対応も別途なされています。お楽しみの試食タイム(実費270円)、とてもおいしくいただきました。

子ども達の笑顔のために最善の工夫をという前向きな姿勢と思いを感じましたが、私はやはりすぐそばで作るのを見てにおいをかぐ、想像する、調理員さんや栄養士さんと言葉を交わす、その全てをひっくるめたものが食育ではないかと考えます。その意味で、やはり日野市の全校自校式給食(学校内で調理する給食)は日野市の宝であり、大切に守っていくべきものだと思います。また、給食室はあくまで「給食」を作るための施設であるため、一般的には災害時に避難者や被災者向けに給食室は解放されません。しかし今回の視察を通して、今後考えていくべき課題ではないかと感じました。

避難所にもなるため、家族で利用できるこのようなテントも70基常備

見学用の窓から、調理の様子が伺えます。

体験コーナーで、調理は大変な力仕事だと実感しました。

この日のメニューは●ご飯●かぶと打ち豆の味噌汁●鰯の蒲焼き●ほうれん草とえのきののり和え とても美味しくいただきました♪