ゲノム編集食品ってなあに?

生活クラブ運動グループ 日野地域協議会主催で、ゲノム編集食品についての学習会を開催しました。生活クラブ連合会企画部部長の前田和記さんのお話を、17名の参加者が熱心に聞き入りました。(2月12日)

遺伝子組み換えとは何が違うの?

各遺伝子を一冊の本に例えるなら、染色体は本棚、ゲノムは図書館の全蔵書、つまり遺伝子全体を指します。さらにひとつの遺伝子にはひとつの指令がありますから、ゲノムは全指令、これを人為的に操作する新しい技術がゲノム編集です。
従来の遺伝子組み換え技術は、他の遺伝子を組み入れるにあたってトライ&エラーの繰り返しで長い年月と数十億というコストを要していました。そのため大企業しか手をつけられませんでしたが、ゲノム編集は違います。
狙い撃った遺伝子配列を、高い確率で書き換えられるため、短期に低コストでベンチャー起業にでも取り組める技術です。特にノックアウトという遺伝子切り取り型は研究が盛んで、キットが簡単にネットでも手に入ると聞いて驚きました。

ゲノム編集食品ってどんなもの?

植物も動物も人間も、ゲノムは全てアクセルとブレーキの役割がバランスよく備わっているはずなのですが、アクセルをノックアウトすればある特徴が現れなくなり、ブレーキをノックアウトすれば、ある特徴が強く現れます。こうして作り出されたものの一例として、不自然に肉厚な真鯛や、超実りの多い稲、芽が出ても食べられるじゃがいもなどがあります。これらを食べても「問題ない」とされていますが、人為的に作り出した未知の変異が、体内において何かしらの変異を生み出さないと誰にも言い切ることはできません。そんなリスクを冒してまで、食べたくありませんよね。

見分けることができるの?

ゲノム編集食品を避けたくても、このノックアウトと一部のノックイン(切り取ったところに新たな遺伝子を組み入れる高精度の遺伝子組み換え)については無規制の状態です。表示義務はなく、昨年10月より自主的情報提供こちらにおいて開始したに留まっています。ぜひチェックしてみてください。※学習会当日現在、届け出はまだありません。
つまり知らず知らずの間に、食べてしまうことになるのです!
ではゲノム編集食品を避けるにはどうしたらよいでしょうか。前田さんは、まずは「○○機能強化」食品などには手を出さない方がよいと指摘します。同時に飼料に至るまでのトレーサビリティ(流通の移動経路を追跡できること)を確認できる環境を整えること、そして表示義務を、国に強く求めていくことです。
参加者からは「食品だけではなく、薬も危ないのではないか」「日本の農業は大丈夫なのか」といった不安の声があがりました。

私たちができること

こういった企業が儲けるために開発された技術で、食品を安価に手に入れることはできるようになるかもしれませんが、その代償は未知数です。私たちは、現世代はもちろん次世代の命と健康を守るためにも、そして生産者を支えていくためにも、遺伝子組み換えおよびゲノム編集食品には「NOを明確にし、表示については、消費者の選ぶ権利を保障するために欠かせないこととして、国に強く訴えていきます。