平和都市宣言を自分ごととして活かしていくために(日野市のイベントより)

いまロシアのウクライナ侵略を機に、世界では核の脅威がこれまでにないほど高まっています。核兵器は、国の安全保障の必要悪なのでしょうか。
目指すのは「平和」、それは皆同じはず。だからこそ、遠い安全保障の問題として国に任せてしまうのではなく、私たち一人ひとりが自分の頭で考え、足元から取り組んでいく必要があります。

日野市核兵器廃絶・平和都市宣言40周年記念イベント「みんなで話そう!平和都市宣言って遠いもの?わたしたちとのつながり」に参加しました(8月20日@日野市防災情報センター)
「日野市核兵器廃絶・平和都市宣言」は1982年、市民からの「非核都市宣言」に関する請願を受け、市議会で採択されたものです。9条のみならず憲法を具現化した、グローバルとローカルの視点をもつ先駆的なものであったということは、説明を聞いて理解しました。
しかしそれから40年の歳月を経て、世界情勢も大きく変化しました。目指すものは変わりませんが、宣言文をいま一度見直しながら新たな息吹を吹き込み、共に平和を構築していこうというというのがイベントの主旨です。

宣言塔@南平体育館

講師の竹峰誠一郎さん(明星大学人文学部人間社会学科教授)は、「一方的に話す講義にはしたくない。」と、まずはグループディスカッションを行いました。そこではもうすぐ戦争体験を語れる人がいなくなることへの危機感から、継承に取り組んでいる大学生もいました。体験者から「いまの日本は戦前に似ている」と言われたといいます。そういう小さな声を私たちはもっと丁寧に聞いて、大きな声にしていかねばならないと感じました。

国と国が戦争をはじめても、犠牲になるのはそこに暮らす住民です。だからこそ、土台となる共通の思いを明文化することで、そこにいつでも立ち返ることができます。地方自治体が宣言をすることは、市民の精神的な柱ができることにつながり、その意義は大きいと竹峰先生は言われます。

さらに核兵器について考えることは、地球を存続させる条件の確保という視点で、それは結局SDGsとつながるという指摘も、大いに納得しました。環境のこと、ジェンダーのことなど、17の目標と掛け合わせて考えてみることで、「国の安全保障」という固定的な見方ではなく、身近に及ぶ具体的な影響という観点で自分ごととして考えることができます。その上で宣言をどう活かし、自分は何をするかです。

日野市は昨年度平和と人権課を設置し、市内全小学校での平和教育や、日野ネットも求めていた市民による平和事業への補助金など展開しています。しかしSDGs未来都市としてはまだ物足りなさを感じるのも事実です。このイベントが市民一人ひとりの「足元からの平和」を考えるきっかけとなることを願っています。

次の開催は10月16日(日)の予定です。
自分にとって「平和」とは何か、それを守るためにはどうしたらいいか、一緒に考えていきませんか。

竹峰先生お勧めの絵本を手に