戦争を回避せよ(猿田佐世さん講演会より)

戦争とならないために外交が大切だということに、異論はないと思います。ではどのような外交が必要かと問われたら、皆さんは何と答えますか。
そのヒントを求め、市民団体が企画した猿田佐世さん(新外交イニシアティブ=以下NDの代表)の講演会「戦争を回避せよ」に参加しました。(5月2日@日野市民会館小ホール)

この「回避」という言葉に猿田さんの考え、思いが込められています。安全保障政策の目標は、即ち戦争を回避することに他ならないからです。
猿田さんは、せめてこの1ページだけでもと言われていたNDの政策提言の骨子、どうかご一読ください。(全文はこちら

ND提言骨子のサムネイル

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ここにある「事前協議」とは、日米安全保障条約改定に伴う日米の交換公文により成立したもので、在日米軍基地においての重要な変更は、単に伝達するだけではなく、日本側の許可が必要であるというものです。岸田首相も国会で「イエスと答えることもあればノーと答えることもあり得る。」と答弁しています(参議院予算委員会3月6日)。

「台湾有事の際の直接出撃は事前協議の対象になる」のだから、「必ずしも事前協議で賛同するとは限らない」と現時点から米国に伝えることが、対米外交の鍵となるといいます。

ASEAN諸国と連携しながら、「Don’t make us choose」(私たちに選ばせないで)というメッセージを明確に発していくこと、また国会での議員の質問や世論、市民運動など全てが外交に通じる—とても大切な視点だと感じました。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻により、戦争に備える議論が戦争の当然視を招いている空気感が立ち込めています。先日観た「沖縄、再び戦場へ(仮)」(三上智恵監督)のスピンオフ作品でも、シェルター避難訓練の様子がありました。(詳細はこちら
「いざという時に子どもを守れるように」と参加した母親のコメントがありました。その気持ちもわかります。ただ本当にそれが子ども達を守ることになるのか、今すべきことは何なのか、空気に流されていてはやがて「茶色の朝」(※)を迎えてしまいかねません。
※フランク・パヴロフ著の短編小説 ぜひご一読を。

猿田さんは「外交で戦争が止められるのか」と記者から詰め寄られることもあるそうです。それに対しては「変えられるか、ではなく変えるしかない。やれることをやるしかない。」とのこと。本気で戦争を回避しようとしたら、本気でやるしかないと共感します。

私たち一人ひとりにできることは、身近な外国の方と親交を深めること、常に相手の言い分を真っ向から否定しないこと、あるいはNDの政策提言を広めることなど色々あります。
空気は流されるのではなく、作っていくーそれには自分の頭で考え、行動するしかありません。
これからも個人として、日野ネットとして、取り組んでいきます。

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