野菜の声を心電図できく~都市型スマート農業の可能性~(委員会視察報告)

環境まちづくり委員会で行政視察に行きました。(11月9日~10日)
昨年は臨時議会の開催で中止、その前はコロナ禍で中止でしたので、4年ぶりの委員会視察です。

◎葛飾区のスマート農業の取組み
1日目は葛飾区のスマート農業の取り組みについて、はじめに区役所でお話を伺った後、実証実験を行っている畑を視察しました。
葛飾区は都市部では都市農業が盛んなほうで、春キャベツは葛飾区が発祥の地とのこと!しかし農業者の後継者・なり手不足は深刻です。
そこで、いかに農業者の負担を減らし、コストをかけずに効率的な農業ができるかという視点で、葛飾区とJA・葛飾営農研究会、東京理科大学が連携し、都市型スマート農業の実証研究を支援し、将来のブランド化を目指す取り組みを行っています。
スマート農業というと、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか。ITを駆使して広大な畑にドローンで農薬をまいている、そんな光景を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。しかしこの葛飾区のスマート農業は、だいぶ違います。

野菜の葉や茎に電極を取り付け、微弱な電気を流し、栄養状態をモニタリングします。これは体の脂肪を測る体組成計と同じ原理(EIS)だそうです。ひたすらデータを蓄積、分析し、条件や環境により野菜にどのような影響があるのかを調べるとても地道な作業です。声なき野菜の声を心電図を通して聞きとる、お医者さんのようだと思いました。

将来的には肥料の過不足(大抵過剰だそうですが)や病気の兆候を早期に発見することなどが期待されています。
この装置をオリジナルに開発したのは、東京理科大学の杉山研究室。当日も研究室の学生さんが測定していました。市販のものを使うと高くつくので、アルミホイルをつかって安価にできる装置を開発したといいます。
実験から商品化されるまで大体20年くらいはかかるようですが、なるべく早く多くの農業者に使ってもらえるよう開発を急ぎたいとのこと、日野市でも活用できるよう、ぜひ応援したいと思いました。

◎仙台市の地球温暖化対策
環境まちづくり委員会視察の二日目は、仙台市の地球温暖化対策についてお話を伺いました。
国の地域脱炭素移行・省エネ推進交付金、5年間で15億円を得て、省エネ住宅補助や、中小企業者等向けの設備導入補助などの施策を計画的に展開されています。
特に素晴らしいと感じたのは、公共施設の脱炭素化推進の話です。これから大規模改修をする学校などをモデル施設に、計画段階で脱炭素のシュミレーションーZEB(※)化の設計をしてみることから取り組まれるとのことです。
現在日野市で建築中の子ども包括支援センターにおいてZEB化の取り組みを求めましたが、間に合わない、またコスト的なことで見送られたのはとても残念に感じています。だからこそ、これからの公共施設の再編の際には最大限脱炭素の視点を、まずは指針づくりから取り組まなければと思いました。
※ZEB(ゼブ):ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディングの略/省エネによって使うエネルギーをへらし、創エネによって使う分のエネルギーをつくることで、エネルギー消費量を正味(ネット)でゼロにすることを目指す建物

また仙台市でもプラスチックの一括回収をはじめたとのことで、何にリサイクルされているかの「見える化」に取り組み、企業と連携し商品を開発しているとのことです。金沢の会社が作ったデザイン性の高いティッシュケースは約2000円で販売されているとのことでした。

建て替えが進んでいる庁舎前の広場では、社会実験として新たな試みが展開されていました。ここで開かれる人が集まるイベント等でいかに自分ごととして省エネや再エネに関心を持ってもらえるか努力をされているようです。日野市でも産業まつり等で工夫をしているところですが、さらに自分ごとの輪を広めていけるよう、提案につなげたいと思います。

仙台市議会議場にて